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第14話
「博光様も、貴方の人生を考えていらっしゃるのですよ。相応の方と結婚して跡取りを残して欲しいと願っているのです。」
そう言った佐久間からは、確かな忠誠が感じられた。
「父さんや佐久間さんには悪いですが、俺には想い人がいますから。出来る事なら邪魔をしないでいただきたい。」
蒼斗の言葉に、佐久間からの返答は無いまま車は屋敷へと到着してしまった。
車から降りて溜息を吐く。
佐久間に先導され、数年ぶりに屋敷へと足を踏み入れた。
「「「「おかえりなさいませ。」」」」
メイド達の挨拶に迎えられ、居心地が悪く下を向いて歩いた。
蒼斗の実家は、大手薬品会社で主に抑制剤の研究をメインとしている。
その反面、一部では誘発剤や媚薬などの研究開発を裏で行っているという噂も流れていた。
建物内を進み、ひとつの扉の前に辿り着いた。
ノックをして嫌々ドアノブに手をかけようとした所で、佐久間に扉を開かれてしまった。
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