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プロローグ

バース性なんてものが無かったら…Ωが虐げられる存在じゃなかったら…… きっと今とは違う、未来があったのかな。 大好きな人の隣にいられる、そんな未来が…。 ──────── 暖かい陽射しの下で、草はらに寝転ぶ2人の少年。 2人は小さな頃から何をするのも一緒だ。 「…すき。」 片方の少年が、もう片方の少年の手を握って呟く。 「ありがとう。」 そう言って、好きだと言った少年の頭をわしゃわしゃと撫でる。 「だいすき。」 少年は顔を真っ赤にして、もう片方の少年の胸に顔を埋めてしまった。 「俺も。」 言葉を受けた少年は優しく微笑んでいた。 ──────── 目が覚めると、頬が濡れている。 最近頻繁に昔の夢を見るようになった。 何も知らず、幸せに暮らしている夢を。 大好きだった彼は今どうしているだろうか。 またいつか、会えるだろうか…。

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