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第1話
蒼斗は大学の講義が終わり、素早く荷物をまとめる。
「あーおとっ!今日バイト?」
近くの席で講義を受けていた友人に声をかけられた。
何人かの友人にも飯の誘いや呑みの誘いで引き止められるが、今の蒼斗にはそれどころではない。
"発情期"
Ω性特有の体質である。
最愛の彼が発情期に苦しんでいる時ぐらい、自分が側にいてやらなければと思っている。
「あー悪い!今日は用事あるから先帰るわ!」
そう言うと、"少しぐらい付き合えよ~"とせがまれたが、うまくすり抜けた。
「まじかよー。」
「悪い!今度埋め合わせするから!じゃあなっ!」
ブツブツ言っている奴らを置いて、足早に教室を出た。
──────────
蒼斗の居なくなった教室では、荷物をまとめた男子が2人で話していた。
「なぁ…あいつの所じゃね?」
ふと思い出した事を口にする。
「あー確かに。そんな時期か…」
あの事件から3ヶ月…確かそのぐらい経つだろう。
「さ、俺たちも帰ろうぜー。」
「そうだなー。」
それ以上語ることなく、2人は教室を出て行った。
誰もむやみに関わりたくないのだ。
例の事件には。
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