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第2話
誘いを振り切って、蒼斗が向かった先は豪華な造りのマンションだ。
部屋で待つのは、可愛い恋人。
αだβだΩだなんて関係ない。
俺が一生守ってやるんだ。
「…はぁっ…はっ…ぁぁあっ…」
寝室の扉を開けると、ブワッと晴人のフェロモンが広がる。
βの自分がここまで強く感じるのだから、αはもっとなのだろう。
一般のβの人間は、ほとんど発情フェロモンを感じないといわれている。
蒼斗はちょっとした特異体質の為に、Ωのフェロモンを感じとる事が出来るのだ。
「大丈夫…じゃないよな。」
ベッドの淵に腰掛けると、俺の存在に気づいた晴人が自身から手を離し縋ってくる。
「はうっ……っ…あっ…ぉと…」
刺激が足りず、中々達せなかったようだ。
「晴人…やっぱり薬効かないんだな…」
初めての発情期の時から、あまり抑制剤を使っても効果がみられないらしい。
何度か薬を変えても、良い時で30分~1時間程しかもたない。
「んっ…たす、けてっ…… 」
涙を浮かべた瞳で見つめられ、その小柄な体を強く抱きしめた。
「俺がαだったらお前と番になれたのにな…。」
ポロッと零れた本音は今の晴人には届いていないようだった。
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