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第11話

晴人が泣いているのは分かっていた。 だが、自分が掛けてやれる言葉が見つからず部屋を出てきてしまった。 「…ごめんね、晴人。」 気持ちを落ち着ける為にソファに腰を下ろした。 寝室へ行く前に煎れた冷めきった紅茶の入ったマグカップに口をつけた。 少ししてテーブルに置いていたスマホのバイブレーションが着信を知らせる。 「もしもし、蒼斗です。」 相手は父親だった。 αの父には、βである俺の事もΩの晴人と交際している事も否定されている。 「……わかりました。」 一度家に帰って来いとの電話だった。 粗方呼び出される内容は分かっていた。 「晴人を会わせるわけにはいかないよな…。」 危険な目に合う前に、自分が晴人を守ってやらなければいけない。

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