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「っ、あぁ、でも……っ」
「そんなに頑なにならなくていいだろうに。難儀だな」
苦笑しながら肩を竦ませてそう言うと、クロは背中を撫でていた手を腰に滑らせた。
そして両手で腰を掴むとそのまま勢いよく、自分の固い屹立の上まで引き寄せた。
先走りで濡れた先端に、窄まりの入り口をひたりと押し当てられる。
クロの指で散々いじられたそこは容易にその屹立を飲み込めるだろう。なのに、クロは腰を掴んだまま屹立のすぐ前で止めて動かない。
窄まりの薄い皮膚に、ドクドクとクロの下半身の熱い脈動が伝わってきてそれだけで孔が期待して物欲しげにひくついた。
「っ、ぁ、ク、クロ……?」
もどかしさに喉をひりつかせながら名前を呼ぶと、クロが意地悪な笑みを浮かべた。
「どっちがいい?」
「へ……?」
「私の雌になってソウシの好きなだけここを気持ちよくぐちゃぐちゃに突かれるのと、男なのに情けなくナカでイって潮吹いてしまうの、どっちがいい?」
突然寄越された究極の二択に、俺は目を剥いた。
声は冗談のような軽い調子なのに、その目は本気だった。
「もし答えが前者なら喜んでこれでここを気持ちよくしてやろう。ただ答えが後者なら、子作りに繋がらないまぐわいはするつもりはない。このまま何もしてやらない。……さて、どうする?」
掴んだ俺の腰を上下にゆさゆさと軽く揺すり、孔に硬い先端をかすめさせる。それだけで疚しい予感にぶわりと胸がさざめく。
「っ、ふ、ぅあ……」
男の自分が子どもを産むなんてとんでもない、絶対にクロの思い通りになんてさせるか、という最初の気概はとっくに消え去っていた。
頭の中は、ただただ気持ちよくなりたい、窄まりの前で待機している熱い昂ぶりをナカに咥え込んでぐちゃぐちゃにされたい、そんな淫らで強烈な願望で埋め尽くされていた。
「……っ、なる」
「ん?」
「クロの雌に、なる……っ、だからっ、いっぱい気持ちよく、して……ッ」
むせび泣きながら、俺は恥も外聞もなく懇願した。
全て思惑通りなのだろう、嬉しそうに歪んだ口の端に獲物を仕留めた獣の笑みが微かに見えた。
「よく言ってくれた、私は嬉しい。ありがとう、ソウシ」
ちゅ、ちゅと俺の頭にキスをするクロの尻尾は嬉しそうに揺れていた。
「これでやっと呪術の条件が揃った」
「へ? 呪術って……ッ、あぁ、んぁ……っ!」
問う言葉を遮るように、どちゅん、と一気に腰を引き下ろされ、悲鳴のような喘ぎ声を上げた。
その後も容赦なく腰を上下に揺さぶられ、俺は堪らずクロの肩に掴まった。
ぐちゅんぐちゅんと激しくナカを擦られる度に、聞き苦しい甘い声が飛び散って、理性も何もかもが吹き飛んだ。
残ったのは獣のように快感を貪る情けないほど意志の弱い自分だけだった。
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