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コミュ障傾向にある俺が娼館の館長と交渉してまでアーロンたちを娼館に行かせたのは、静かで安全な夜を過ごしたかったからだけではない。 奴らの俺に対する性的な執着を絶つためだ。 名付けて「やっぱり女の子の体がいいよね!」大作戦だ。 ネーミングセンスはまぁ横に置いといて、わりと本気の作戦だ。 以前、男は女性がいない環境でも死の危機感を覚えると男相手でも欲情するという話を聞いたことがある。 これは魔物と戦い、いつも死と隣り合わせであるアーロンたちにも言えるのではないだろうか。 まぁ、アーロンの俺に対する執着は珍しい性的な玩具に対するものとそう変わりないだろうが。 アーロンはともかく、ドゥーガルドは女性がいない環境である上に、図らずも初めて性的な触れ合いをしたのが俺だったからきっと勘違いしてしまったのだ。 そこで考えたのがこの作戦だ。 俺に対する盲目的な執着から目を覚まさせるには、ハッとするほど柔らかい女の子のオッパイしかない! いや、正直俺も童貞だから触ることはおろか生で見たこともないけれど、きっとそれは童貞を正しい道に導いてくれるに違いない。 「あぁ、いいなぁ。俺もおっぱい触りたい……」 こんなことなら俺も娼館の券をもらっておけばよかった……、いや、でもやっぱり最初は好きな子とがいいよなぁ……、そういえばこの宿屋の娘さん、ミシェットさん、可愛かったなぁ、清楚な感じで笑顔が可愛くて……ーー。 そんなことを考えていたら、いつの間にかベッドの柔らかさに沈むように眠りに落ちていった。 **** ミシ……ーー 微かにベッドが軋んで、眠る俺の意識をかすめた。 鼻先に甘い匂いが漂っている。 目を薄く開けると、ベッド横のランプに照らされて人影が浮かんでいた。 その影は俺の上に跨っていて、顔を近づけると長い黒髪がさらりと落ちてきて頬に触れた。 それは宿屋の娘、ミシェットさんだった。 「え! えぇ!?」 驚く俺にミシェットさんは艶やかな笑みを浮かべて俺の唇にそっと人差し指を当てた。 「静かに。みんなに聞こえちゃいます」 「え? え? ど、どうして俺の部屋に?」 困惑しきっている俺に、ミシェットさんはくすりと笑った。 「決まってるじゃないですか。……夜這いにきたんですよ」 そう言って唇を重ねてきた。 まるでエロマンガのような展開に俺は目を白黒させた。 う、嘘!? まさか俺にもモテ期到来!? 正直ミシェットさんがどんな人かは全く知らないけれど、こんな可愛い人なら体から始まる関係もありだ! 軽いキスを重ねた後に、休む間もなく口の中に舌を差し込まれた。 不名誉なことだけれどこういう深い口づけはアーロンとしたことがあったので、もたもたせず絡ませることが出来た。 おかげで童貞丸出しの反応で女の子に引かれることは免れた。 ありがとう、アーロン……! まさかアーロンに感謝する日が来るとは思っていなかった。 あの消し去りたいトラウマ的過去もこの時の練習だと思えばまぁ許せないこともない。 「んっ……ん……」 とてもあの清楚な感じのミシェットさんとは思えない積極的な動きで舌を絡めてくるので経験値ほぼゼロの俺はもうされるがままだ。 不意に彼女の手が下半身に伸ばされてビクッと体が震えた。 しかし気持ちよさに身も心も委ねていた俺は拒むことなくその手を受け入れた。 ズボンの上から緩急をつけるようにして撫でたり揉んだりするその手は俺のものを包み込むほど大きかった。 それほど俺のアレが小さいのか、それとも彼女の手が大きいだけなのか……後者であることを祈るばかりだ。 そんな違和感など吹き飛ぶほど気持ちよかったが、段々物足りなさを感じ始めて悶々とし始めた。 き、気持ちいいけど、もっとちゃんと触って欲しい……! 俺は意を決して、いや割と欲望にせっつかれるがまま簡単に口を開いた。 「はぁっ……ズ、ズボンの上からじゃなくって……直に触って……っ」 思いもよらず涎にまみれたようないやらしい声が出て自分でも驚いた。 でも触って欲しい気持ちで頭がいっぱいそんなことはどうでもよかった。 ミシェットさんも驚いたのか手の動きが止まった。 それが焦れったくて、俺は自分からズボンを脱ごうとしたが、彼女の手が股間に触れたままなので、途中までしか下ろすことができなかった。 「……っはぁ、はやく、触って……っ、俺、待てない……っ」 布越しでもあんなに気持ちよかったのだから直に触られたらもっと気持ちいいに決まってる……! そんな期待と焦れったさから俺は恥も外聞もなくほぼ初対面と言っても過言でない女の子にねだってしまった。 ミシェットさんはそんな俺の露骨なおねだりに驚いたのか固まっていたけれど、すぐに口元に微笑みを漂わせて顔を近づけてきた。 「……本当に可愛いな、ソウシは」 「……え?」 目の前の唇が発した声が思いも寄らず低くなったので、気持ちよさでとろとろになった俺もさすがにこの時ばかりは目を剥いた。

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