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ドゥーガルドの言葉に面食らう。 純粋な童貞であるドゥーガルドからまさか躾るなんて言葉が出るとは……! 娼館で悪知恵を吹き込まれたのだろう。 純粋な童貞ほどエロ知識の吸収力が凄まじいのは身を持って知っている。 というか、大きな犬のような存在だったドゥーガルドから躾るなんて言葉が出るなんて、なんだか飼い犬に手を噛まれたような気持ちだ。 「ドゥーガルド、お、落ち着け。そんな言葉遣い、らしくないぞ。まず俺の上からどけ」 「……いやだ」 優しく諭したが、ドゥーガルドは意地を張った子供のように頑なに俺の上からどこうとはしなかった。 それどころか、手錠をかけた手首を片手でグッと押さえ込み、うなじや背中にキスを落とし始めた。 「んっ、ちょ……っ」 雪がアスファルトに染みるようにくすぐったさが淡く背中に滲んでいく。 せっかく冷静さを取り戻せたのに、また頭が熱で浮かされてすべてがぼんやりとなり始める。 嫌な予兆だ。 無駄とは分かりつつも、それを振り払うように体をもぞもぞと動かした。 申し訳程度の抵抗を見せる俺に、ドゥーガルドは唇を耳元に寄せて囁いた。 「……そんなに嫌がらないでくれ。俺はただソウシに入れたいだけじゃないんだ。アーロンなんかとは違う。ソウシに望まれて入れたいんだ」 「いやいや! 入れたいことに変わりないじゃねぇか!」 「……違う。ソウシと同じ想いで繋がりたい」 「……っ!」 息を吹きかけられるように囁かれ、耳が燃えるように熱くなる。 その上、誠実ささえ感じられる真っ直ぐな声なものだから、俺はすっかりたじろいでしまった。 その隙に入り込むように、不意に耳たぶをはまれた。 「ひゃ……!」 「……またソウシの気持ちいいところを見つけられた」 嬉しそうに笑いながら、ドゥーガルドは甘噛みした部分を癒すように舐めた。 ざらざらとした舌が、ゆっくりと耳の輪郭をなぞる。 耳から滴り落ちるように快感が背筋を伝い、下半身にたどり着く。 先っぽが先走りでじっとりと濡れていくのが分かった。 おもむろにドゥーガルドは耳から唇を離して体を起こした。 解放されたと思うべきなのに、耳からの快感が途絶えて下半身が物足りなさに飢えの喘ぎを上げている。 「……すまない。少し気持ちが悪いかもしれないが耐えてくれ」 ドゥーガルドが不吉な謝罪を寄越したと同時に、下の穴に氷のように冷たいものが当てられた。 「ひ……っ!」 冷たい感触に凍てついた悲鳴が零れた。 恐る恐る後ろを振り返ると、ドゥーガルドの手には暗いピンク色の液体が入った小瓶が握られていた。 嫌な予感に腰を引こうとしたが、それを察知したようにドゥーガルドの手が俺の腰を掴んだ。 そしてそのまま腰を少し引き上げると、瓶を傾けた。 「ぁっ、あっ、あぁ……っ!」 ドクドクとぬめりのある液体が注がれていく。 否応なく流れ込んでくるそれに、下腹部が過敏に反応して熱を持ち始める。 快感の一歩手前といったもどかしい熱が下半身を中心に体中に広がる。 その熱に身悶える俺の腰辺りを、ドゥーガルドが宥めるように優しく撫でた。

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