放課後、真木と真木のクラスメイトの会話が聞こえてきたんだ。 「偏見はないが、俺は同性と恋人同士になるなんて考えられないね」 　そう話す真木の声がーー。 　オレは真木が好き。でも真木とオレはクラスが違う。加えて勉強もできない。 　真木はオレのことなんて知らない。しかも同性の恋人を作らないノンケ。 　この恋は初めから打算ばかりで、告白する前から振られている。 　それでも恋を諦めきれなかった。 　だって生まれて初めてだったんだ。こんなに誰かに心惹かれたのはーー。だからどうしても真木に近づきたかった。 　そこでオレはひとつの嘘をつくことにしたんだ。 『桜庭 悠陽が好き』だという嘘をーー。 　桜庭 悠陽は真木の親友で、幸いにもこの学園ではかなりの人気がある。桜庭も真木に劣らずのモデル並みのイケメンで優等生。面倒見が良くて誰にも優しくて、同級生どころか下級生や上級生にまで人気を誇る王子様タイプ。