つまり桜庭は真木と正反対の性格だった。 　オレは人当たりの良いそんな桜庭を利用して、真木に近づくことにしたんだ。 『桜庭が好きなんだけど他のクラスだし面識がないから彼について色々教えて欲しい』って。 　初めは軽くあしらわれていたんだけど、案の定、優しい真木はオレを突き放さなかった。 　まあ、休憩時間や昼休みとか、事ある毎にしつこく絡むからっていう理由が大部分を占めているんだけどな。 　とにかく！ 　真木は桜庭の好きなことや苦手なこと。今日やらかした失敗談なんかを話してくれるようになった。 　そして３年に進学して、オレがＦ組。真木と桜庭がＤ組とクラスが違ってもそれは変わらない。おかげで桜庭とも面識ができて話す機会もずっと増えた。 　真木には、『もう桜庭に告白できる』と言われたことはある。だけど本当は真木が好きだなんて口が裂けても言えない。 　こうして臆病者のオレは、せめて卒業まで真木の傍にいる道を選んだ。