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弁当男子_4
今日の授業が終わり、帰ろうと下駄箱へ向かった所で三人の男子に囲まれ、それを無視して避けようとしたところに腕を掴まれて振り向いた。
「離せよ」
一人だけ俺と背丈が同じ位の奴がいて、俺のシャツを掴んで顔を近づけてガンをつける。確か、田中とか呼ばれてたな。
「逃がさねぇよ。朝の続きでもしようぜ」
少し離れた場所で女子がこちらを見ている。あぁ、そういう事か。良い所を見せたいって訳。
くだらねぇ。
やる気のない俺の頬に田中がパンチを食らわせた。それが意外と重く、唇の端が切れ血が流れた。
多少、腕に自信があるのだろう。だから喧嘩を吹っかけてきたのか。
だが、俺は昔からこんなだから喧嘩は強い方だ。一発殴り返してやった所に、タイミングよくそこに神野が現れた。
「何しているの?」
こんな神野は知らない。
俺でも怯むような、ゾクッとくるような鋭い目つきでこちらを見ていたからだ。
「こいつが喧嘩を吹っかけてきたんだ」
と殴った奴が俺を指さした。
本当かと怖い顔で見る神野に、俺は小馬鹿にしたように笑う。
神野はこいつらの仲間だ。きっと彼らを庇うだろう。だから何を言っても無駄だと思ったからだ。
「ムカつくんだよ、こいつ等。だから殴った」
「そうだ、コイツが」
「……なんてね。そういう事を言いそうだなって証拠を撮ってた」
スマホの画面を見せる。そこには相手が先に殴った証拠が撮られていた。
「なっ」
まさか初めから見られていたとは思わず、俺も相手の男達も黙り込む。
「なんか様子がおかしいから、君達の後をつけてきたんだけど、こんなことになっていて驚いたよ」
と肩をすくめ、
「喧嘩両成敗って事で良いよね? クラスメイトが処分されるのは嫌だからさ。 ねぇ、君らもそう思うよね」
と木の陰から見ていた女子に声を掛ける。
「うん、私もそれは嫌だな」
いい子ぶって可愛さをアピールする女子にウンザリとする。男どもをけしかけたのは彼女たちだろう。
神野に本当は止めようと思ったけど怖かったの、と、まとわりつく。あざとくて気持ち悪い。
「ほら、君達は彼らの怪我の手当てをしてあげて。葉月は俺がするから」
そういうと腕を掴まれて無理やり引っ張られた。
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