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プロローグ

三年前。教師である俺は、一人の生徒と恋人関係にあった。 ソイツは学校の中でも問題児で、一際目立っていた。 髪は染めて、眉毛を剃って、挙句にピアスまでしてくるほどチャラ着いた格好。 どんだけ注意しても、なかなか治らない。教師達の手を焼かせる奴だった。 けどそのかわり。優しい奴でもあった。 困ってる奴が居たら、見返りを求めず助ける。 場の雰囲気が悪くなれば、間に入って和ませる。 泣いている女子が居れば、一緒に泣いてあげられる。 誰に対しても等しく接するソイツは、誰からも等しく好かれ。 そしてーー誰のものにもならない奴だと思っていた。 けど。 「なぁ先生。俺と付き合おうよ」 冗談みたいな告白に、あの時の俺は確かにーー胸を締め付けられたんだ。

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