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番外編:聖夜のプレゼント4

「はぁ……もう、サヤちゃん、軽いおふざけならいいけど、本気出すのはやめてくれないかな」 いや、乳首は出てたみたいだけど、全然本気とか出してない。むしろ軽い冗談だったんだけど。 「もう、朝からこんな……サヤちゃん、日中は可愛いとこ見せるの禁止」 「可愛いところって……自分じゃわかんねーよ」 「ダメだ……サヤちゃん、拗ねた顔も可愛い。はぁ……バイトするっていうの、断ればよかった」 「え、何でそんな寂しい事言うんだよ」 「サヤちゃんの可愛いさにドキドキするくらいなら問題ないけど、さっきみたいにムラムラさせられたら、本当に困るよ」 「え、真矢オレの乳首見ただけでムラムラするの?」 「っっっ当たり前だろっ!」 何故かちょっとキレ気味だ。 「でも、昼間乳首出す事なんかないし。万一真矢がムラムラしたとしても乳首くらいならいくらでもしゃぶっていいぞ」 あれ? 真矢がフリーズしてる。 ……なんか目で語ってる? ……あー。 うん、乳首しゃぶられたら、それだけで終わるわけないか。 まあ、そうだよな。 「サヤちゃん、自分の発言に少し責任を持とうか」 真矢が『ふぅ……』と深くため息をついた。 「その……なんかごめん」 曖昧に謝るオレの背後に真矢が回った。 何だ……?と思う間もなく、シャツの中に手が進入してきて、両胸の先を摘まれ、爪でサシュッっと弾かれた。 「んっンァ!!!」 鋭く痺れるような快感に膝の力が抜ける。 もたれかかるオレをしっかり抱きとめて、真矢がさらにクニクニと乳首を弄んだ。 「また適当に謝って。『乳首くらいならいくらでもしゃぶっていい』だなんて、ちょっと摘まんだだけでこれなのに。サヤちゃんは自分が何を言ってるのかもう少し良く考えた方がいい」 「んんんっっ!……ごめんっ……ごめんって……!ぁあっ」 「何について『ごめん』って言ってる?」 「んっんっ……胸…乳首ですぐ気持ち良くなって、ごめんっっ」 「……いや、そうじゃなくて」 真矢は手を止めたけど、余韻でいつまでもピリピリと快感がぶり返す。 「ぁぅんっ…じゃ……も、最近乳首でホントすぐイっちゃうから……?」 「乳首でイクからって、それをなんで俺に謝るんだ」 「うう……真矢、オレ、今何の話してる……?」 真矢ががくりとうなだれた。 「もう、なんでもいいよ。働いてるサヤちゃんの前に極力顔を出さないようにするから」 「ええ〜、そんなこと言うなよ」 真矢の腰に抱きついて、肩に頭をグリグリと押し付ける。 「……はぁ…。やっぱりバイト断ればよかった」 「真矢、冷たい」 「ちょっと冷たいくらいでちょうどいいだろ」 「ヤダ」 「『ヤダ』じゃないよ。ああっ。もう」 「なんで怒ってるんだよ」 「……はぁ…。サヤちゃんが可愛過ぎて辛い……」 「オレは真矢が優しくしてくれないとツライ」 「ああ、もう、なんでいちいち可愛い事言うんだ」 「可愛い事なんか言ってないだろ。なんでいちいち怒るんだ」 「サヤちゃん、少し想像してみようか。例えばここが店舗だとして……」 背後から密着するように押して、オレを壁に押し付ける。 そして尻に腰をすり付けながら、オレの耳たぶを噛んだ。 「オレがバイト中のサヤちゃんにこんな事したら、どうする?」 ここが店舗…つまりバイト中で真矢が背後から……? 「えっと……ドキドキする」 「………サヤちゃん、なかなか手強いね」 なんだか真矢がガックリしてるけど、いや、ドキドキするだろ。 「じゃ、お客さんいるのにこの状態だったら……?」 「はっっ!? いや、そりゃダメだろ」 「そう、駄目だよね。なので、可愛いく誘惑するような事は禁止」 「誘惑とか、そんなことできねーよ」 「してるんだよ。無自覚で」 「そんなの自分じゃわかんねーって」 「まあ、俺は店舗には滅多に顔を出さないけどね」 「はぁっなんだよそれ」 「店舗じゃなくても抱きしめたくなるような可愛いいこと言うの禁止。その代わり、バイト終わって二人っきりになったら……」 真矢がオレの目を見つめる。 その切れ長な目に吸い寄せられた。 「真矢…ん……」 条件反射のようにキスしていた。 「サヤちゃん、もう……俺の言った事、ちゃんとわかってる?」 「わかってるよ。バイト中はダメなんだろ?だから……今……んっ」 真矢の手がオレの背中を熱くなでた。そしてグッとキスが深くなる。 「きりがなくなるから、イチャつくのはきっちり五分だけ……ね?」 「は……?ふははっ。わかった、五分な。って……おわっ!?」 「じゃ、遠慮なく……」 二人で転がるには少し狭いソファに強引に引き倒された。 「えっ!? あ、ちょっ、真矢っんっ…んぁっ、ぁっ…ああっ!?」 シャツを捲り上げられ、真矢の暖かな舌で乳首を舐めあげられる。 「真矢っ……ウソだろちょっと!ンぁっ!!」 「サヤちゃん、あまり大きな声出すと、母屋に聞こえるかも」 ううっ……これはマジの忠告だ。 「…ぁっ……真矢ちょっと、手加減して」 「因果応報」 「は…?んっぁ…どういう意味っ。ん…んくっ……」 真矢の指が容赦なくオレの胸をつまみ、クニクニとこねる。 「サヤちゃんが可愛いのが悪い……ってことだよ」 「んくっ……なんだそれ……??く…んくっ……」 刺激にあわせてビクビクと身体が跳ねるのを真矢にしがみついてこらえた。 声を我慢すると息まで出来なくなってしまう。 「んく……ふぅっっ…ぁあ、ソコ……ダメ」 胸だけじゃなく、下着に手を差込まれた。 昨夜の快感を思い出すように、一気に熱が集まってパンパンに張りつめる。 「サヤちゃん朝から元気だね」 「っっくぅ……朝……だからだよ……んっ…ちょ…そんな……したら、イクっ」 敏感な部分を握り込むようにして、手のひらでクニュクニュと刺激される。 優しいような強引なような。わけがわからなくなって、とにかく甘えるように真矢キスをした。 「ふぅん……ふぅ…くっ……んぁっ…まやっ……イきそ」 しがみついて震えるオレの肩を真矢が掴んでぎゅと押した。 「はい、五分。これでおしまい」 「っっっはぁぁぁ!?」 「さ、行こうかサヤちゃん」 「イヤイヤイヤイヤイヤイヤ、無理っ!コレどうするんだよ」 「どうしたもんかね」 サッと立ち上がった真矢の手を掴んで引き戻す。 「も…すぐ…イクから……」 腕にすがって、自分のモノに真矢の手を押しつけ、グイグイと刺激した。 「はぁっ……真矢、真矢。イク……」 真矢が大きく手を動かしながら、指でジュクッ……っと先端を刺激する。 「は…ぁ…出る…。ん……」 吸い付くようにキスをしながら、オレは真矢の手に熱を溢れさせた。 「っ…は〜。スッキリした!!バイトすげぇがんばれそうな気がする。へへっ」 ご機嫌でしゃっきり立ち上がったオレを真矢がドローンとした目で見ている。 「……五分って言ったのに」 「いや、でもあそこでおしまいはないだろ」 「俺は五分で気持ち切り替えたのに……潤んだ目で見上げてくるサヤちゃん、超可愛くてキスもエロくて。しかもなんだあの腰の動き……エロい……エロい……エロい」 「う…そんな言うなよ。はずかしいって」 「はぁぁぁ……」 真矢がさわやかな朝に似つかわしくない、深ーいため息をつく。 そして髪をくしゃっとかきあげて、鋭い視線をオレに寄越した。 「これ以上、可愛く俺を誘惑するのは禁止!もしエロ可愛さ溢れさせたら罰として人前でもおかまい無しにさっきみたいな乳首責めするから」 「っっっはぁっ!?」 真矢が壊れた……。 人前でエロいのダメって言いながら、罰でエロいコトするって、本末転倒ってヤツじゃないのか。 まあ、いい。 そもそもバイト中にエロい状況になんかなるはず無いんだし。 ◇ クリスマスが終わったら、もう正月準備一色なんだな。 バイトは店舗での販売がメインだけど、でっかい門松作りとか餅つきとか、正月に神社で甘酒売ったり、やる事がいっぱいあるみたいだ。 オレはそういうことにあまり縁がなかったから、ちょっと驚いてるけど、楽しみでもある。 以前なら『はぁ?餅つきナニソレ?』って思ってたハズだ。なのに楽しみだって思えるようになったのって、やっぱ真矢の影響なのかな。なんか不思議だ。 家が遠いから、普通なら冬休みの間はそうそう会えないはずの真矢と、ずっと一緒にいられるのも嬉しい。 そして真矢と一緒に年を越せる。 来年も、真矢とずっと一緒……と言えないからこそ、少しでも一緒に居たい。 真矢は他県の大学を受験して、オレは地元の専門学校へ行くことになってる。 もちろん真矢の進学先の近くの大学や専門学校に行くことも考えた。 でも、そう言ったら、自分の将来のことをもう少しよく考えろって真矢に叱られた。 学校に行くって言ったってタダじゃない。 金銭的な負担を考えたら、就職かな……って言ったら今度は母ちゃんに叱られた。 何をしたいのかわからないオレよりも本気でオレの将来のことを考えてくれている二人に叱られて、一生懸命本気で考えた『とりあえず』が地元の専門学校に行って資格とって選択肢を増やすってことだった。 真矢と離れるのは嫌だ。 でも、真矢に自信たっぷりに『離れたって大丈夫だ』って言われると、そうかなって気がするんだよな。 今だって互いの家が少し遠いから自由に会えるわけじゃない。 オレはいつも夜になると真矢からの連絡をソワソワ待ってたりしてる。 そこらへんは、他県に離れたって一緒だろう。 でも、昼間顔を見れないのは寂しい。 だから、今は真矢とずっと一緒に居たい。 「あー…。オレ、真矢んちに就職しようかなぁ……」 蔵の扉を開いて、キンと冷えた空気を吸ったとたん、こんな言葉がこぼれ出た。 「……ウチの家族の前では、それを言わないでくれるかな。きっと本気にするから」 「なんだよ、ダメなのかよ」 「サヤちゃんにはちゃんと自分のしたいことを見つけて欲しい。それが本当にウチに就職することなら歓迎するけど……思いつきだろ?」 「……だな」 目の前の酒蔵と工場を見ても、ここでどんな仕事をするのかなんて、さっぱり想像がつかない。 「でも、バイト楽しみだ」 「そう。サヤちゃんに楽しんで働いてもらえると嬉しいな。俺もちょこちょこ手伝うから」 「はっ!? 真矢一緒じゃねぇの?」 「……俺、受験生だから」 「余裕かましてるくせに」 「余裕だから、ちょこちょこ手伝うつもりなんだよ」 まあ、時間を取られることよりも、人の多いところで風邪を貰ったりする事を心配してるのかもしれない。 「はぁっっ…寒いっ!はやく母家にはいろっ」 真矢の腕にギュッと抱きついて温もりをわけてもらう。 「サヤちゃん……懲りないね。」 「はぁっ!? 何がだよ」 文句を言っておきながら、まぁまぁイチャついて見えるってことにすぐに気付いた。 そろ……と手を放しつつ。 「……でも、友だちとかなら、このくらい普通だろ?」 なんて文句を言う。 「友だちじゃないし。それから、これからは友だちの腕に抱きつくのも禁止にしてもらえるかな」 真矢がオレの手をきゅっと掴んだ。 「真矢のヤキモチ妬き……」 「そうだよ」 「……そうなの?」 「そうだよ。いつだってサヤちゃんを独占したい」 真矢の言葉に勝手に顔が笑ってしまう。 最近ずっと、模試だ期末テストだってゴタゴタしてた。 ゆっくり会えなかったのはお互い様なのに、オレは自分ばっかり真矢と一緒に居たがってるような気がして、寂しく思ってたんだ。 真矢に我がままを言われたい。束縛されたい。独占されたい。 愛されたい欲求でいっぱいいっぱいになってた。 けど、昨日と今日でちょっとだけ満たされた。 ……でも、まだちょっとだけだ。 バイト終わったらまた真矢の部屋で、いっぱいいっぱいイチャつこう。 そして、明日も明後日もバイトが終わったらイチャつける。 「はぁ、もう休みの間ずっと泊まらせてもらおうかな」 「……それは、体力が持たないよ」 ぼそ……っと言って、真矢が母家にあがった。 えっ…つまりは、泊まりの日には必ず………ってこと!? ……ヤバい、ニヤニヤが止まらない。 「はよっす」 真矢に続いて母家にあがり、真矢の父ちゃんに挨拶をしながら満面の笑みになってしまう。 イチャイチャ以外にも、楽しい時間を真矢と一緒に過ごせそうだし。 今年の冬休みはサイコーの思い出がいっぱい出来そうだ!! 《終》

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