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24-じれじれ[早くっっ!]1
真矢は至って真っ当で、真面目で誠実だ。
悩ましいくらいに。
正直、エロい事しか考えてなかった自分が恥ずかしい。
けど、この『入れられたら即イっちゃいそう』ってくらいまで高められた状態で『なかったこと』にされるのもツライ。
今だって、何もしてなくても快感の余韻に身体がヒクついてる。
「えっと…この近く、ドラッグストアか、コンビニか……」
あ……。
これは、ヤる方向?
ちょっと、ホッとした。
真矢の『ごめん』にションボリしすぎて、まぶたが熱くなってた。
ドラッグストアかコンビニ……なんて言い出したのは、多分『準備』ってのとイコールだろう。
ここからいそいそ服着て、興奮した股間をどうにか静めつつドラッグストアでコンドームなどを買う真矢とか……。
バツゲームとしては最適だ。ちょっと見てみたい気もする。
けどそんな事したら、その間待ってるオレもバツゲーム並みに寂しい。
それに……。
ヤる気満々で浮かれポンチなオレは『準備万端』で真矢が来るのを待っていた。
ちゃんと段階を踏もうとしていた真矢に、自分のヤる気満々っぷりをさらすようで恥ずかしいけど……。
ベッドの下に置いてある収納ボックスから多分真矢が購入しようと言っているであろうモノを取り出す。
一瞬、真矢が目を見開いた。
そして確認するようにスっと目線が動く。
大丈夫!未開封だよ!
そんなオレの心の叫びが聞こえたかどうかわからないけど、少しの沈黙のあと、真矢が申し訳無さそうな笑顔を浮かべてオレを抱きしめた。
「サヤちゃん、俺、気が利かなくてほんと申し訳ない」
「そんな……」
オレが勝手に頭ん中エロい事でいっぱいにしすぎてただけだ。
真矢にしてみれば、初めてオレん家に来るからって、親に挨拶するつもりで手みやげまで持ってきてたんだ。
気が利かないわけはない。
それに加えてゴムとローション手みやげに?
なんか。デパートの紙袋に入って熨斗 でも付いてそうだ。
「サヤちゃん、ありがとう」
チラと、目線でオレが用意したゴムとローションを示す。
最初っからヤられる気満々でこういうのを用意してるって、やっぱり男として恥ずかしいような気がしてた。だから、真矢の『ありがとう』一つで、かなりホッとした。
きっと赤くなっているであろう頬をちょっと緩めて、ぎゅっと真矢に抱きつく。
真矢もグッと抱きしめ返してくれる。
そのままそっと押し倒され、キス。
途切れてしまったムードを取り戻すように、真矢が優しい手つきでオレの肌をなぞる。
背骨の上をすべる指の心地よさに鳥肌が立った。
オレも真矢のすべらかな肌に手をはわし、味わうようになでていく。
意外にしっかりと筋肉のついた背中。ふれあう胸からはドク、ドク、と真矢の心音が伝わる。
ゾクゾクと快感の走る官能的なふれあいにうっとり夢中になった。なのに、ああ、もうすぐだ……なんてこの先を意識した途端、一気に頭に血がのぼり、信じられないくらい緊張し始めてしまった。
キスをしてても、真矢がローションのキャップをあける『かしょっ』という音が異様にはっきりと聞こえてくる。
うう……期待しすぎだオレ。
「……っっ!」
濡れた手が尻にそえられ、軽くなじませた後、つぷりと指が差し込まれる。
すでに一度快感を高められているソコは、ローションで滑りの良くなった真矢の長い指をあっさり根元までくわえ込んだ。
「サヤちゃん、ちょっと目が潤んでる。ツライ?それとも……喜んでくれてる?」
「はぁっ……。ツラくない。大丈夫。……ん」
強いて言うなら……早く欲しすぎてツラい。
「指、増やすよ」
「ウン!うんっっっっ!」
もう、そんな確認とかいらないからっ……指でもなんでもいいからっ……真矢でいっぱいになりたい。
「ん…んんはぁ……」
ぐっと二本目の指が押し入る感覚に耐える。
もう、充分過ぎるくらいにほぐされ、快感を引き出されてるから、気を抜くと押しだされるようにイってしまいそうだ。
真矢が長い指をねじりながら抜き差しする。予測不能な刺激に翻弄され、反射的にギュギュッと入口を締めればよりはっきりと指を感じて……。
「く……んっんん!んくぅっ」
「サヤちゃん、大丈夫?」
目を見て確認してくれるけど……。
その首にすがりついて乞うようにキスをする。
「んむっっん…もう…もうっっ!大丈夫じゃないっ、まやぁ、はやく入れて?」
「サ、サヤちゃん……」
真矢ののど仏がゴクリと動くのが見えた。
「本当に、いいの?」
ああ、もう、ここ、まで、来て、まだ、確認、するの、かっっっっ!
「んはぁ……はやくしてくれよ。真矢のバカぁ〜〜」
半ギレの勢いで言ったつもりなのに、まるで半泣きだ。
「ああ、ごめんごめん」
子供をあやすように頬をなでられてしまう。
八つ当たりみたいにその手を軽く噛むと、逆に指を突っ込まれて舌をくすぐられた。
「はむぅ…まひゃ…も、じらすなひょ……」
しゃべりにくい。
けど、自分からさらに舌をからめてしまう。
……なんでだろう、たとえ他人 のでも指をしゃぶると、ちょっと甘えた気分になるもんなんだな……。
いや、そもそもオレはずっと真矢に甘えっぱなしか……。
しかし、今、口とケツの両方に指突っ込まれてるとか、結構とんでもない串刺し状態な気が……。
……ま、そこら辺は考えないようにしよう。
「ちゅば……まやぁ……はやくぅ…ひて?んんん……む」
「ああ、もう、なんでこんなにエッチで可愛いのかなぁ……」
後ろに差し込んでいた指を慎重に抜く。
入れやすいようにだろうか?
真矢がオレの腰の下にクッションを敷き込む。
う……なんだか……手慣れてる?
しかも自分よりガタイのいいオレの腰を軽々持ち上げてるし。
そして、ようやく入口に念願のモノのが添えられた。
「サヤちゃん、入るよ」
「んぁ…ああ…ぁんんん…………」
ぐいっと押し込まれる感覚は、やっぱり指とは全く違う。
先が入ると一旦止まり、慎重にゆるゆると動く。
「もうちょっと……」
「んはぁはぁっ…ふは……」
少しして、一気にずるりと中ほどまで入ってきた。
苦しいくらいの圧迫感が、そのまま『真矢がオレの中にいるんだ』という満足感につながる。
電話や録音で真矢の声を聞きながら、何度も想像し、欲しくて欲しくてたまらなかった感覚を、今初めて知ったんだ。
真矢が荒くなりそうな息を必死でこらえている。
余裕ある態度を保とうとしてるのかもしれない。けど激しく興奮しているのが肌から伝わってくる。
「はあ……コレがサヤちゃんの感触……。夢みたいだ」
「ん…真矢ぁ、オレも…うれし……」
「ふぁ…んは…ん……」
ちょっと動かれただけで大きく息が漏れる。
「苦しかったり痛かったりしたら、ちゃんと教えて?」
「ん…だいじょぶ……」
……痛いというより、熱い。そして動かされるたびにイってしまいそうだ。
「本当に?なんか、苦しそうだけど」
「ああぁう……。大丈夫だから……大丈夫だから、もっと奥まで……全部…入れて?」
そう言った途端、ぎゅっと強く抱き込まれた。
「はぁ…可愛い。サヤちゃん…可愛い……可愛い……可愛い……可愛い……」
甘くうっとりとしたトーン。
……ダメだ。
大好きな声でこんな風に言われたら、その響きだけでクラクラして、何も考えられなくなっちまうって。
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