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No. 2 滑った口と気の強い手
「お前と喧嘩すんの、疲れる」
喧嘩の末路の暴言。
酷い言葉だ。
言ってしまって取り戻せなくて後悔する。
君は目を見開いて、唇を震わせる。噛み締め過ぎて震えてる。
泣かせてしまう。
目頭の小さな涙腺から薄い膜が盛り上がる。
その目がつり上がり、大きく右手が動いく。
それは左の頬で痛烈な衝撃を伴って爆ぜた。差し出された手が、君の言葉を紡ぐ。
『話せないからって、聞こえない訳じゃねぇ』
掌が舞う。気の強い君の言葉を形作る。
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