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「あの、柚さん…」
「なに?」
「今日、俺ん家、親が旅行で居ないんですけど…良かったら遊びに来ませんか?」
ついに言ったぞ…!
朝からいつ言おういつ言おうと考え、やっぱりまだ早過ぎるかな、今日はやめとこうかな、とそわそわしていた俺だったが、我慢できなかった。
生徒会長と柚さんの会話を目の当たりにしてしまい、恥ずかしながら俺はかなり焦りを感じていたのだ。
もちろん、柚さんが会長を好きなことは知っている。でも、最近だんだん俺に傾いて来てくれているような気がしていただけに、またあちらに傾かれては困るのだ。
できるならば身も心も俺のものにしてしまいたい。
柚さんは少しだけ考える素振りをして、にっこりと俺に微笑んだ。
「うん。行く」
◇ ◇ ◇
俺の誘いに乗ってくれた柚さんは、ちゃんと俺が何をしたいのか分かってくれていたみたいで、俺の部屋で会話が途切れた瞬間を見計らって柚さんにキスをしたらそれに応えてくれた。
こんな可愛い人にガツガツして嫌われるのが怖くて、いつもは軽いキスをするだけだったが、今日は気持ちの高ぶりもあって濃いめのやつを仕掛けた。一瞬驚いたような柚さんだったけど、それにもすぐに反応して俺の舌に自分の舌を絡めてくれる。
幸せ過ぎて、ドキドキし過ぎて、なんかもうこれだけで死んでもいいなんて思ってしまった。
でも駄目だ。俺は柚さんと1つになるまでは死ねない。なんとしても生きてみせる。
謎の生命力に満ち溢れた俺は、ドサっと自分のベッドに華奢な柚さんを押し倒した。
「柚さん…好きです」
柚さんの大きく黒目がちな瞳が俺を見上げる。あの柚さんが俺の腕の下にいるなんて夢みたいだ。それこそ、何度も夢で見た光景。現実はもっともっと俺を高揚させ、興奮させてくれる。
柚さんの噛み付きたくなるように細く白い首筋にキスを落とすと、柚さんがふふ、と笑う。
「くすぐったいよ、純希くん」
「あ…すみません」
「ねえ…もっと、キスしよう?」
「はいっ、…ん」
返事し終えるかし終えないかのタイミングで、下から柚さんの腕が伸びて来てぐいっと引き寄せられた。
俺はもちろん抵抗することもなく柚さんとキスをする。
今度は柚さんから舌を入れて来てくれて、歯茎や上顎をなぞった。口と口の隙間が開かないほど密着して、少し激しいキスに呼吸のタイミングを見失いそうになる。
柚さん、キスうまい…
腰砕けになりそうな程気持ち良いキスに、目がトロンとなったとき、気付くといつの間にか柚さんが俺の上に来ていた。
あれ?
…あ、もしかして柚さんがリードしたい、のかな。
勝手に俺がリードしなきゃ、と思っていたが柚さんはそういえば年上だ。そういうの気にするのかもな、と気付く。
柚さんが俺の上に来たことによって、柚さんの股間が布越しに触れる。まだ一度も触ったことはないが、固い感触に心臓がドキドキした。
柚さんが俺相手に勃ってるなんて。こんな嬉しいことあっていいの?これ、夢じゃないよな?
思わず頬をつねりたくなる。ムードをぶち壊すわけにはいかないから、つねらないけど夢じゃないよな。
あ〜!もう!
柚さん、ほんと大好き!
「柚さん…、俺、柚さんの舐めたい。舐めていいですか…?」
上目遣いで尋ねると、柚さんは静かに微笑んだ。
「いいよ。でも僕ちょっと恥ずかしいからそれ以外触らないように腕、結んでもいい?」
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