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数学教師と俺

弥栄(やさか)先生は本当にかっこいい先生だ。 濡れたような黒髪にすっと流れるような目。 高い身長。大きな手。 先生だからやっぱり賢いし、人当たりもよくて他の生徒や先生からも大人気。 「お前、ちゃんと聞いてんのか?」 「あ、すんません」 「お前がこの前の中間、赤点だったから補習してんのに」 弥栄先生は、俺の顔をみて「はぁ…」とため息をつく。 俺、花田春一(はるいち)は、金髪ピアスのアホでおまけに165センチという低身長…言ってて泣けてきた。 この前の中間で26点という悲惨な点数を取ってしまったがために数学準備室で補習中なのである。 ヤンキーって言われるけど、それなりに授業は出てるし、文系科目なら平均点いくかいかないかくらいの点数はとれる。 でも…… 「だーかーらー!まずは公式叩き込めってんだろ。バカの一つ覚えで覚えろよ」 数学は苦手だ。 「わっかんねーんだもん。しょうがないじゃん」 「お前なぁ……。ここでつまづいてたら、この先やべーぞ」 「むー」 シャーペン回しながら、問題を解く。 「このままじゃ、夜になるぞー」 「いーよ。どうせ親いないし」 「……お前、母親だけだったか」 「そうだけど……もう何年もこんな感じで生活してるし、慣れた。それに母さんは他の男の家行ってて、1週間帰ってきてないし」 「大変なんだな」 「別に……もう慣れたし」 誰もいない部屋。 寂しくて泣いた日もあった。 でも、もう慣れてしまった。 「じゃあなおさら早く帰らねーとな」 「え?」 「頑張って課題終わらせたら、飯奢ってやるよ」 「マジで!?」 「大マジだ」 「っしゃー!」 「だから真面目にやれよ?」 「はい!」 満面の笑みで答えた。 弥栄先生は少しびっくりした顔をして、いつもの笑顔を浮かべた。 やっぱ男の俺からみてもかっこいーよなぁ。 課題をなんとか終わらせた。もうすっかり日が暮れている。部活の生徒も帰ったようだ。 「しょうがないから、車にのせてやる」と先生の車に乗る。 「ラーメンでいいのか?」 「奢りなら何でも良いっ!」 「お前なぁ……まぁご褒美だからな」 車をしばらく走らせると、ラーメン屋に着く。店にはいるとスープの良い匂いがして、食欲を刺激する。 「お前なに食べる?」 「味噌ラーメン!」 「じゃ俺もそれで。味噌ラーメン2つお願いします」 ラーメンをすすりながら、学校のこと、家のこと、友達のことを話した。弥栄先生はたまに相づちをいれながら、話を聞いてくれた。 大人にこんなにたくさん話をしたのは初めてかもしれない。 「先生、ごちそうさまでした」 「いーえ、お粗末さんでした」 ラーメン屋から出て、また先生の車に乗る。 家に帰るの憂鬱だな……。 「ちょっとドライブでもしてくか?」 思いもかけない誘いだった。 「いいの?先生だろ?」 「もう先生の時間は終わったからいいんだよ。今は寂しい独身男なんで」 「何それ」 俺は小さく笑うと先生が俺の髪をかきあげるように撫でる。 「な、何……?」 「いや、綺麗に染めてるなと思って。自分で染めてんのか?」 「金ないから、自分で」 「へー」 「先生は染めたことないの?」 「あー学生のときは茶髪とかにしてたな。お前みたいにうまいこと自分ではできなかったから美容院とかで染めてたけど」 「俺、美容院行ったことない。髪も自分で切ってるし」 「すげーな。じゃ、俺も白髪出てきたら、花田に染めてもらうかなぁ」 「やだよ」 そんなことをいいながら、車は町から山の方へ走っていく。 しばらくすると展望台に着いた。 今は6月だが、少し肌寒いくらいだ。 車を降りて、空をみるとキラキラと星が見える。 「めっちゃきれー……」 「結構気に入ってんだ、ここ」 「なんかわかる気がする」 「人に教えたことない」 「彼女とか、先生いないの?」 「そんなのご無沙汰だ」 「そうなんだ……」 あれ?何で、俺安心してんだろ……。 「ここ教えたのも、お前が初めて」 先生はもう一度俺の髪を撫でた。少し手つきが怪しい。髪から頬を撫でる。そして、顔が近づいてきて唇が触れる。 「…………え?」 びっくりした。びっくりしすぎて、突き飛ばしたりもできなかった。 「お前、俺のこと好きだろ?」 「え、何でそうなんの……?俺、別に先生こと、好きじゃない」 「本当に?」 「……っ、本当!」 「彼女いないって言った時、安心したろ?」 「!」 図星だった。 「だって、お前授業中、授業聞かずに俺の顔ばっかみてるだろ」 「見てない!」 「授業以外でも、俺のこと見てるだろ?」 「……どんだけ自意識過剰なんだよ!」 「試してやるよ」 先生がニヤリと笑うと、俺の体をすごい力で抱き寄せ、唇を奪う。 「……っんん……」 固く閉ざしていた唇を無理やりこじ開けられ、舌が絡み合う。くちゅくちゅと濡れた音が闇夜に響く。 「……ん、はぁ……あ、むぅ……せ、んせい、やめ……んん……」 キスをしながら、俺の股間に先生の大きな手があたり、俺のモノをズボンの上からしごかれた。 「……()ってる」 耳元で囁かれ、余計に熱を持つ。 「あんたが、触ってるからだろ!?」 「へー、花田は好きじゃない男の手で勃っちゃうのか」 「そんなわけ……っないだろ……っ!!」 先生の手がさっきよりも激しく上下する。 「一回イっとけよ」 「……や、やだ……イ、イキたくな、い……っ!」 「イキたくなかったら、言えよ」 「……え?」 「『僕は先生のことが好きで、勃っちゃいました』って」 「な、何でそんなこと……っあ!」 「お、湿ってきたなぁ」 もう、ダメだ……。出そうだ……。 「どうする?もう限界だろ?ほら、五秒以内に告白したら、しごくのやめてやるよ」 底意地の悪いやり方だと思った。 「5……4……」 カウントが始まる。もう限界だ、出そうだ。 「3……2……1……」 ゼロと言いかけたところで、俺は声を絞り出した。 「せ、先生のこと……っあ、好きです……触られて勃ってしまい、ました……もぅ……お願いします……やめて……」 俺は泣きながら、懇願した。ピタリと先生の手が止まる。 解放され、膝の力が抜ける。 がくりと膝をつきそうになるところを先生が受け止めてくれた。 「良い子だな……お前は」 今度は額に優しいキスをされる。 「でも、このままじゃ帰さない」 そう言って、俺の手を自分の股間に押し付ける。 びくりと俺は体を震わせた。 勃ってる……。 「いい所、行くぞ」 俺を車に押し込め、少し走らせるとラブホテルに着いた。 慣れた手つきで、フロントで部屋を選ぶと、階段を上り、部屋に入る。 俺はさっきの快感が体に残っており、ふらふらしていた。先生は俺をベッドに押し倒すと、これまた慣れた手つきで服を脱がされる。そして先生も服を脱いだ。 お互いあられのない姿になると、貪るようにキスをした。 「……ん……はぁ、先、せい……」 「はる、いち……」 下の名前で呼ばれ、体がぶるりと震える。 先生が胸の突起に触ると、電気がはしったかのような快感が押し寄せた。 「なんだ、乳首でもイケんのか?……お前、そっちの才能もあるよ」 「ば、ばか……」 「先生に使う言葉遣いじゃないなぁ…」 先生は乳首をかりっと噛む。 「……あぁっ!!」 「うわ……先走り、やば……」 自分のモノからあふれでているソレを、先生は口でナメる。 「……んああ!ダメ、ソレ、ダメぇ!!」 「なんで」 「き、汚いから……」 「汚くねぇよっていうか、綺麗にしてやる」 そう言ってもう一度、口に含み、舌の上でコロコロとなめたり、ちゅうと吸う。 「あぁあー!イク!イクからぁ!!っぁあん!!」 自分でも信じられないような甘い声が聞こえる。それがまた快感に繋がっていく。 「まだイクな」 口を離し、今度はベッドの近くにあったチューブを先生が手に取る。 「春一、今までのは準備運動だ。これからが本番だ」 後ろを振り向くと先生はニヤリと笑っていた。いつもならそんな表情もかっこいいとさえ思うが、今はそんな余裕すらない。 俺ははぁはぁと息もたえだえで、次にくる快感に備えることすらできない。体は脱力している。 「春一、お尻、こっち向けろ」 「え……お、しりって……先生、まさか……」 嫌な予感しかしない。先生は俺の体を反対に向かせ、もろにお尻を突きだすような形になった。 「大丈夫、ちゃんとこれでほぐしてやるから」 先生はチューブを押し出し、ドロリとした液体を指にとり、俺の孔に突っ込んだ。 「……んぁ!」 その指はどんどん俺の中に入ってくる。指は生き物のように動いては、俺の中を拡げてくる。 「……ん、はぁ……き、気持ち悪い」 「気持ちよくなるさ……お前変態だもん」 「そ、そんなこと……!」 そんなことないと言いかけると、「はい、二本目ー」ともう一本指が増える。 「……っあぁあ!!」 「な、もう一本増やしていい?」 「も、無理ぃ……勘弁してぇ……っ」 「でもなぁ、指三本分がその人のペニスの大きさっていうからなー」 ペニスって…… 「い、挿れるつもりなのか!?」 「何のためにラブホきてるんだよ」 「む、むり…そんな大きいの入らない」 「大丈夫、さぁもう一本増やすぞ…?」 「だ、めぇ……!っあ!!」 さらにもう一本増え、中がさらにキツくなる。 「春一、きもちいいか?」 耳元で囁かれる。 「……っ気持ち悪い!」 「嘘つけ、今孔が締まったぞ」 体が熱くなり、さらに体に力が入った。 「お、また締まった。春一、お前結構Mだな」 くくっと先生が笑う。 しばらく指でかき回されると、ずぷっと指を抜かれる。 「だいぶ慣れたな……」 先生がそう呟くと、孔にぴとりと指ではないものが当たる。 「せ、先生、何か当たって……?」 「ん?俺のが当たってるんだよ」 「!?」 先生、本気でする気だ……! 「む、無理!無理無理!!」 「三本、入っただろ?」 後ろで先生が笑ったような気がする。 その瞬間、孔に太いモノが入ってくる。 「っああああ!!!!」 「ん、キツ……でも、入った」 指では届かなかった深いところを突かれ、苦しいあえぎ声から甘い声にだんだん変わっていく。 「……んあ、あぁ!」 「ん……中、熱くて溶けそうだな」 先生が抜き差ししはじめ、挿れるときの息苦しさ、出すときの気持ちよさで頭がおかしくなる。 「はぁ……はぁ……!」 先生もきもち良さそうな声を漏れている。 「も、先生……!無理ぃ……出る……あぁ!出ちゃうぅぅ……!!」 「俺も、っ出すぞ……!」 腰を打ち付けるスピードが早くなる。 先生が俺の中の壁を擦られ、もう意識が飛びそうだ。そして…… 「……っあぁ!」 「……っ!」 俺のモノから白濁した液体が飛び散り、じんわりと下腹部が温かくなる。 体の力が抜け、ベッドに体をうずめる。 「春一……愛してる」 意識を手放す瞬間、先生の囁きが聞こえた。 「……腰がいたい」 「腰痛?」 「違うわ!!先生のせいで……!」 と言いかけて、昨日の情事を思い出した。 ぶわっと顔が熱くなる。 「俺のせいで?何だ?」 先生はいじわるそうに笑う。 分かってるくせに、こいつ……と心のなかで悪態つく。 「お前は本当に可愛いな」 「何で、何で俺とHしたんですか…?」 「Hって……言ったろ?好きだから」 「先生は、いつから」 いつから好きだったんですか?と言いかけて、唇に人差し指が当たる。 「洋一」 「え?」 「洋一って呼んでくれ」 「洋一……さん」 「ふ……まぁ、それでいいや。春」 髪を撫で、唇に洋一さんの唇が優しく触れる。 昨日の乱暴なキスじゃない。 「っていうか『春』って……」 「そっちの方が呼びやすいし、たくさん呼びたい」 顔が熱くなる。 「まぁ……いいけど」と唇を尖らせながら呟く。 「それより学校遅刻だけど、どうする?」 洋一さんがさらりとすごいことを言ってのける。 「ど、どうするって……」 「行くか?」 「洋一さんは、どうするんだよ」 「え?もう休みますって連絡入れたから」 このクソ教師が……。 「もういい。サボる」 「お前、もう赤点とんなよ?」 「……善処します」 「取ったら、また二人だけで補習してやるからな」 弥栄先生はまたニヤリと笑った。 もう絶対赤点は取らない……。

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