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十八言。デート×デート

嵐は過ぎ去った。 クリスマスの寝る暇もない忙しい日々が終わった。 リースも花束も完売。追加注文に備えていた予備も開店と同時に完売。 若いバイク便の人が俺の花束の為に日に何度も往復する。 この一カ月、顔を見ない日はないぐらい、お世話になった。 逸そ俺がバイク転がした方が早そうだけど。 そんな一週間を経て、クリスマスの夜。 俺と椿は売れ残り半額になったパサパサの生クリームケーキとこちらも半額になったオードブルとコンビニで売っていた七面鳥もどきと、 飲めもしないシャンパンをテーブ ルに広げ、弱々しく乾杯した。 洗濯機には溢れた洗い物、廊下には出前で出たゴミを集めたゴミ袋が何個も置かれている。 そんなクリスマスとは程遠い中、二人は美味しいのか味も分からないぐらいの空腹のお腹の中に流し込んでいく。 だが、仕事に追われてクリスマスが味わえないの は悔しいと、太陽はクラッカーやサンタ帽を被っ て、死にそうな真っ白な顔でシャンパンを飲む。 「お疲れさま。父さん、目が開いてないよ」 「駄目だ。……眠い」 「そのまま眠らないでよ!」 椿の言葉も虚しく、フォークを持ったまま机に 突っ伏すと、 目蓋がくっついて離れなくなった。 クリスマスを仕事だけで終わらせる日が、もう何年も続いていた。 微かに雪が降るクリスマス。 満身創痍の俺はソファに寝かされ、丸まって眠っていた。 起こしてくれるのは、誰だ? 深い深い眠りなんだ。 体を、心を守るために、ぎゅっと小さく丸まってるんだ。 疲れてなきゃ眠れないから無理に仕事を詰め込んだり、 身体だけを重ねて泥のように疲れさせて。 誰か。誰か起こしてくれ。 ずっと丸まって寒さを凌ぐだけなんてお断りだ。 誰か。 ブォォン その時、店の前でバイクの音がした。 夜中に吹かしやがって。 何度も何度も聞こえてくる。 うるせーな。 そのバイクの音に、重たい目蓋を開くと、 ゆっくり窓辺へ歩き出す。 窓の下にはゴツいバイクが止まっていた。 「メリークリスマス、太陽さん」

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