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その口から聞きたい(エピローグ)
「·····はよー···」
「おはよう。」
目を擦りながらキッチンへと向かう。
カチャカチャとコーヒーを淹れる弘人を視界の端に捉え、椅子に座って突っ伏した。
くっそ、ダリィ····
腰は痛いし、尻も痛いし、心なしか声も掠れている。
それもそうだろう。
あんだけヤりゃ、こっちの負担はバカほどあるに決まってる。
「身体、つらい?」
カタン、と顔の横にコーヒーが置かれる。
俺好みに作られた砂糖2本と牛乳少し。
コーヒーの香り消えるから勿体ない···と呆れながらも作ってくれる朝食代わり。
「そーなー···誰かさんのSっ気たっぷりの絶倫セックスのせいで、腰ダルいよなー···死にそーよなー···」
「··········ごめんなさい」
顔を上げずにボヤけば大きな手が優しく腰を撫でる。
きもちー···
昨夜の弘人はちょっと···いや、かなり激しかった。
どうしても『愛してる』と言わせたかったのだろう。
散々焦らされ、啼かされ、気をやる程にイかされた。
正直、、、超ヨかった。
けど絶対言わなかった。
だって、恥ずかしいじゃんか。
セックスが気持ちよくて喘ぐのとは違う。
弘人は愛してるだの大好きだの、いつも簡単に言うけれど。
俺にはハードルが高い。
それに···
今までで一番激しかった昨夜の弘人の熱を思いだし、自然と顔が笑った。
言わなければ言わないほど、弘人が俺に執着する。
それが最高に心地好くて。
だから、絶対言うもんかって···そう思った。
チラッと視線を向けてみる。
申し訳なさそうな顔をして腰を擦るその姿が面白い。
ジッと見つめてくる切れ長の瞳は眉尻が下がってて、反省しているらしいその表情に自然と口角が上がった。
情けない顔、けどカッコいいよなぁ
···うん、やっぱり大好きだ。
「·····てるよ」
「え?」
今なら言っても聞き逃すのが分かっているから、小さくボソッと呟いてみる。
案の定、撫でていた手を止め弘人の間抜けな声が返ってきた。
「も、もう一回···!」
「·······やだ」
「ちゃんと聞こえなかった!もう一回お願いします!」
「ぜってぇやだ。」
「なんで!」
必死でお願いしてくる弘人が面白い。
「うっせぇ、腰に響くからデケェ声出すな。」
「うぐっ···」
わざと冷たく言い放てば声を詰まらせる。
そうしてまた腰を撫でてくるのが可笑しくて···同じくらい愛しくて。
腹と胸の奥がキュッと絞まる。
「···なぁ」
「うん?」
「講義今日午後からだし。イチャイチャする?」
撫でる手を掴みながら誘えば、弘人は嬉しそうに笑ったー。
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