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遠距離の埋め方(※)

アナログ人間の自分がまさかこんなものを使う日が来ようとは。 テレビ電話でのやり取り。 スマホで十分だと思っていたのに、大きな画面でアイツが見たくてタブレットを購入した。 そうして恋人との距離を埋めたい一心で始めたSk○peは、思わぬ効果を生んだ。 「はっ、あ···ンアっ!」 鼻から抜け出る甘い喘ぎ。 まるで女のような···淫らで高い声。 それが自分の口から発せられていることに恥ずかしさと興奮が入り交じる。 『んっ···可愛い、柳···もっと強く押し付けて、気持ちよくなるから···』 機械越しに聞こえる伊月の声が上擦っている。 チラッと視線を向けた先には、立たせて置いたタブレット。 その画面には通話中の表示と大好きな伊月の姿。 ハァハァと息を荒げ、ジッとこちらを見つめる瞳に胸がキュンと苦しくなった。 『可愛い』なんて、たぶん目が悪いのだ。 世界中の人間が自分のことを可愛い系だと言わない、その自覚はちゃんとある。 けして華奢ではない···どちらかというとがっしりとした体型に、低い声。 つり目で無愛想、目があっただけで『ガン飛ばした』とイチャモンをつけられてきた高校時代。 逃げるのも嫌で、喧嘩を売られたら買うような真似ばかりしていた。 そんな自分が実はアナニー好きのゲイだなんて、誰にも言えなかった。 ···伊月に出会うまでは。 綺麗な顔がこちらを見ている。 画面は小さいし温もりは感じられないけれど、それでも確かにそこに存在する。 それだけで軽くイきそうだ。 『···エロ···』 小さくグチュグチュと聞こえてくるのは、伊月も自分のぺニスを弄っているからだろうか··· 「はぁん···!あ、や···!」 ヴィィィ···· 振動を続ける可愛らしいピンクのローターを言われるがままに強く乳首に押し付けた。 脳天まで走り抜ける甘い痺れ。 ビリビリとそこから広がる快感は、下半身にどんどん熱を溜めていった。 それを解放したくて、ローターを押し付けながら片手をぺニスに絡めた。 気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい···! 自分の手で、 自分で強弱をつけ、 自分の意思で快楽を追う。 画面を通した自分の姿はさぞかし滑稽だろう。 残っていた理性がそう思わせるのに、自身を慰める手の動きは激しくなるばかりで。 「いつきぃ···や、もう···イッく···!」 見られながらの自慰に背徳感より興奮の方が勝っている。 『もう?だーめ、まだ後ろ弄ってないでしょ。柳は後ろ触らないと気持ちよくイけないんだから、もう少し我慢ね』 「ンンッ···!」 恥ずかしいことを言われたのに、頷き期待してしまう自分。 その言葉に従い、ヌチュヌチュと扱いていた手を止めギュッと自身を握りしめることで達したいのを必死で我慢した。 『っ、あー···その我慢してる顔、最っ高···ンッ』 吐息を含んだ、甘いけれど愉しそうな声。 涙の滲んだ目で画面を見つめれば、『睨んでも可愛いだけだから』と嬉しそうに笑っていて。 『手伝ってあげるから、今日もそれ使って気持ちよくなろうね』 それ、と呼ばれた物にドクッと心臓が跳ねた。 手を伸ばせばすぐに取れる位置にある、容量の減ったローションとバイブ。 『ほら···一緒に気持ちよくなろ···?』 甘い誘惑に、 声に、 微笑みに 、 喉がゴクッと鳴った。

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