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第10話

まさか告白か⁉︎ こんなにハルは俺のものだと見せつけていたのに! 慌てて中庭に降りて、校舎の陰に隠れるように聞き耳をたてる。 よくないことだとは思ったが、逆上してハルを襲われでもしたらたまらない。 風が木の葉を揺らす音と、ハルの声が聞こえる。 「ごめんなさい、先輩の気持ちには答えられません。 もう知ってるかもしれないけど、僕は祐季先輩が好きです。 好きな人を裏切るようなこと、できません…」 恥ずかしがって普段は好きなんて言ってくれない。 でも、ちゃんとハルも好きだって思ってくれてたんだ… ・ ・ 話が終わったのを見計らって、声をかけた。 オレンジ色に染まったハルが柔らかい笑顔をこぼした。 「お疲れ様です、ユウ」 「うん、ハルも… ハル、好きだよ」 そっと口付けると、服の裾をきゅっと掴まれる。 「僕も、ユウのこと好きです…」 ぎゅっと抱きつかれて、しばらく2人で抱き合った。 ・ ・ 「荷物とって、帰ろうか」 手をつなぐと、黙って後ろをついてくる。 お互いなにも喋ることなく教室まで戻って、帰る支度をする。 なんだか寂しそうなハルが気になって、 「ハル、明日も一緒に学校行こうな」 次の約束をした。 やっと嬉しそうに笑ってくれたハルに、俺も幸せな気持ちになった気がした。
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