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第1話

「槇野君、ずっと好きなの……私と付き合ってくれますか?」 目の前には 確か去年同じクラスだった…… …………名前は覚えていない女の子。 サラサラした髪が肩で揺れる。 唇はリップクリームだろうか、ほんのり紅く色付いている。 俺の返事を待つ瞳は、上目遣いに潤んでいる。 きっと可愛いいんだろう。 でも 俺は 誰も好きにならない…………。 少し屈んで彼女の顔を覗き込む……。 「ありがとう。 でも ゴメンね。 君とは付き合えない……。」 断っているのに いきなり抱きついてきた…………。 瞳から涙を溢れさせ 「何で? 私のコト嫌い?」 と聞いてくる。 何で? コッチが聞きたい。 好きも嫌いも 俺、君の事……知らないし。 彼女の肩に手をかけて俺から離す。 「私……槇野君の彼女になる……」 面倒クサイ。 断っているのに何でそうなる……。 嫌悪感で吐き気がする。 「ゴメン。君とは付き合わない。」 ハッキリと伝えた。 何で、何でと泣きじゃくる女の子……。 …………何様だ?

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