10 / 16

第10話

ライブにそのまま行けるように着替えをした。 チノパンにボタンダウンのシャツ。 薄いピンクのコットンニットに紺ブレ。 茶色のローファーに足を入れ、和夢の家に玄関から訪れた。 「あらっサトちゃん素敵!!」 「ありがとうございます。」 里奈さんの言葉はお世辞でも嬉しかった。 「慧!!」 二階から降りて来た和夢は 赤いタータンチェックのスリムパンツに生成りのアラン模様のコットンセーター。深緑のジャケットを羽織っている。 編み上げブーツを履き俺の元に駆け寄る和夢。 明るめの髪にとっても似合う服装だ。 何よりとても 可愛い。 和夢にドキドキしてしまった……。 和也さんが車を出してくれた。 俺と和夢はいつものように後部座席に座った。 俺の左手が和夢の右手に触れた………… どちらかともなく 手を繋いだ。 和夢の温もりは 手放さない……。 俺を支えてくれるこの手は 親友である俺のモノだ…………。 和也さんの車はホテルの入り口に滑り込んだ。 ドアマンが近寄り車の扉を開けてくれた。 「高瀬様、ようこそホテルMITSUKIにお越しくださいました。ご案内します。」 ベルボーイに続きエレベーターに乗り込み ホテルの上層階にあるレストラン街の一つに案内された。 「高瀬様、お待ちしておりました。 ようこそダイニング櫻へお越しくださいました。」 半個室のような広いテーブル席に案内された。 一旦ウェイターが席を離れた。 「緊張したぁ」 「こんなんでメシの味わかるか?」 「父さん大丈夫?何か高そう……」 「失礼します。高瀬様、間もなく槇野様が到着されるそうです。 ただ今ご連絡がありました。 ただ……申し訳ございません……あの……」 「すみません。もしかしてトラックですか?」 「はい。あのトラックを置きに行くお時間がないとの事で直接こちらにいらっしゃるそうです。 お時間とらせて申し訳ございません。 ただ今駐車場の手配をさせていただいております。 せっかくのお食事時間を遅らせてしまい申し訳ございません。」 「いえ、こちらこそすみません。」 支配人のネームプレートに申し訳なくなった。 「父さん何やってんだよ。トラックでホテルに来るなんて……」 「サト、お前を祝ってやりたいんだよ?」 「分かってるけど…………」

ともだちにシェアしよう!