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俺とかなちゃん
俺、本郷啓太《ホンゴウケイタ》と、かなちゃんこと本郷彼方《ホンゴウカナタ》は義兄弟だ。お互いの両親が再婚したのは10年前。俺6歳、かなちゃんが7歳の時だった。
当時は幼いながらにも自分の知らない女性が母親になるという違和感に複雑な心境だったことを覚えている。
かなちゃんは一つ年上だから、俺より余計に思うところがあったかもしれない。だから始めは言いたい事もお互い遠慮して我慢したり。とにかくぎくしゃくしていた。
でも一つ屋根の下に一緒に暮らすようになって、幼かった俺達は次第に順応し心を開き、ケンカして、笑って、泣いて……本当の兄弟のようになった。
そして現在。
俺16歳、かなちゃん17歳。
義兄弟且つ地元の同じ公立高校に通う先輩後輩の間柄だ。
ただ一つ想定外だったことがある。それは弟の俺、啓太は高一にして身長180センチ、肩幅も広ければ顔のパーツもはっきりしていて男らしいが、それに比べてかなちゃんは身長165センチ、男にしては大分華奢でハイグレードな女装が出来そうな中性的な顔立ちをしていた。大きな俺と小さい兄貴。想定外なデコボコ義兄弟だった。
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俺とかなちゃんの一日は、ほぼお決まりのように朝の弱いかなちゃんを俺が起こすところから始まる。
「かなちゃん朝飯冷めるし、遅刻すんぞ」
ガチャリとドアを開けながらこれまたお決まりの台詞を口にする。だけどこの日はいつもと違う展開が待っていた。
いつもなら「あと5分……」とか言ってむにゃむにゃしてるかなちゃんが、この日は違っていた。なんだか様子がおかしい。
既に上半身は起き上がり両手に毛布を抱えている。心なしか顔が赤い。
「も、もう起きてるから先食べててよ!」
「……なに?どうした?かなちゃん熱でもあるんじゃねぇの?」
額に手を当てようと一歩近づくとかなちゃんはいつもより高い声を上げる。
「ないっ!ないから、こっち来ないで」
「……?」
おかしいだろ。頬には赤みが差し、目は潤み……。そんなかなちゃんに見詰められて俺の喉がコクリと鳴った。
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