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第1話
「ただいまー」
陽が沈み昼間の空と地上の明るさが逆転しネオンが輝く夜の一角にある紅蓮と言うホストグラブがあった。
そこの裏口から入ってスタッフルームの一室のソファに寝そべる少年がいた。
「あ~疲れた……」
「おいコラ!!
ここはお前の家じゃねぇって何回言えば分かるんだ?クソガキ。」
「あ、父さん。
別にいいじゃん減るもんじゃあるまいし。」
「お前な……」
少年の父はここ、ホストクラブの店長兼オーナーだ。
そしてその息子である高校生の少年、五十鈴莉羽 は父の仕事場にしょっちゅう出入りしている。
本当はこんなところに未成年が来ては行けないのだろうがそれでも来るのは何故かって?
それは暇ということもあるしそれに……
「莉羽、お前また来てたのか?」
「あ、昴だ。」
莉羽に話し掛けてきた昴はここの店の人気No.1ホストだ。
「昴悪いが仕事の前に子守りを頼む。」
「分かりました。」
「子守りってなんだよ。
ガキ扱いすんな!!」
莉羽の言葉には耳を傾けず仕事に戻っていく父親に無視すんなと怒るがそれを昴が宥める。
「落ち着け、いつものことだろう。
それともそんなにパパに構ってほしいか?」
妖艶な笑みでそうからかう昴。
いつみてもほんとに綺麗な顔で思わず見惚れてしまう。
「ちげぇよ!!
俺はヒマなんだよ。」
「ヒマってそんなに友達いないのか?」
「友達くらいいっぱいいるし。
ただ遊びに行くのは面倒なだけ。」
友達はいるが放課後とか休みの日にあまり遊んだりはしない。
だってただでさえ人に合わせるのは疲れるのに
どこか遊びに行くなんて正直面倒……
ここでは気を使う事はないから楽なのだ。
「そうか、なら俺が大人の遊びを教えてやろうか?
誰にも内緒だ。」
こうやって真剣な顔して人の心に無粋に入り込み、まるで自分が特別みたいな態度を取るから
この店に来る女はコロッと落とされる。
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