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第115話 キスでいいよ
「俺と正式につきあうのはOKでも、これはどうしてもダメってのか?」壁に提示した禁煙マークを指さしてあなたはごねる。
「当店は全面禁煙です」
「もう閉店時間だろ。他の客もいないし。だいたいホテルじゃおまえも吸ってたじゃないか。スモーカーなんだろ? いつもどこで吸ってんだ? 厨房の換気扇の下か? だったら俺もそこで」
「全面禁煙って言ってるでしょう。店内では吸ってませんよ」
「じゃあどこで?」
僕はため息をつきながら店外に出て「営業中」のプレートを裏返し、看板の照明を消す。
「この二階が僕の部屋で、そこで吸ってる」
あなたは目を見開いて、それから笑った。「行っていいのか?」
「彼氏なんだろ、いいよ。その代わり高くつくけど」
「おい、彼氏になってもまだ金取るって言うのか?」あなたは苦笑いする。
「お金じゃない」
「えっ?」
僕は、何度もベッドを共にした僕たちが、まだしていないことがしたい。
「キスでいいよ」
きっとそれは、あなたの煙草の匂いがする。
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twitterお題SS「#BLお題キスでいいよ」
※本来140字縛りなのですが、お題だけ使わせていただきました
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