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第6話

「はぁ、っ……ぅ、くっ……」 「イキそう? イってもいいよ?」  そう言って、俺の腕を押さえていた手を離すと、睾丸を転がすように優しく撫でた。 「待って、それ、やば……っ、っ」  零夜の手をどけようと、上から自分の手を重ねるが、力が全く入らなくて、添えるだけになってしまう。そんな俺を見て彼はニヤリと口角を上げると、睾丸を揉んでいた手を下へ滑らせ蕾を軽く撫でた。 「やっ、お前、いい加減に」  カシャッ、カシャッ。部屋に響いたのは、無機質な携帯電話のカメラ音。サーッと血の気が引いて、慌てて取り上げようとするが、彼はひょいっと交わしてニコリと笑う。 「これでやめといてやるよ」 「……消せ」 「やだね。ほら、良く撮れてるだろ?」  携帯電話の画面には、零夜に翻弄される俺がいた。酔っているせいか、彼の手淫のせいなのか、顔は赤く涙目だ。服も(はだ)けているからか、思っていた以上に厭らしく写っている。 「お前、本当ふざけんなよ」  再び取り上げようとするが、俺の上に跨がったままの彼は簡単によけてしまう。 「送信完了っと♪」 「は? 誰に?」 「俺のパソコン。大丈夫、大丈夫、他のやつには見せないから」  彼は、俺が唖然としている間に、携帯電話をズボンのポケットにしまった。 「ふざけんな。全部消せ」 「じゃあ、続きする?」  そう言って、俺の胸をするりと撫でる。その手をパシンッと払いのければ、彼はクスッと笑って俺の上から退いた。  酔いと熱が急速に引いて、次第に頭がクリアになる。 (……最悪だ) 「誰かに言ったり見せたりしたら許さないから」  はだけた衣服を整えて、氷で薄まった酒を煽ったあと、俺は部屋を後にした。

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