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第1章-1
長年、日本は少子高齢化に悩まされてきた。
この危機的状況をどうにかしなければならないと、政府は遂に苦肉の策として“男体の出産機能”の実験を開始する事に踏み込んだ。
海外では研究が進み、健康な成人男性の身体に出産機能を植え付ける事が成功したと言う。それは男性同士のカップルにはとても話題となっており、沢山の厳しい条件はあるものの、既に一般向けに実用化されている。
しかし、国ごとに法律や人権が違う為、海外のやり方をそっくりそのまま取り入れる事は日本ではまだ出来ない。
日本での実験内容としては、国が定めた被験者である夫婦に、様々な投薬治療を施し、産まれてくる男児のDNAを改変すると言うものだ。
実験が成功すれば、産まれてくる男児には女性としての機能も備わる事になるし、後から植え付けるよりも、後遺症や副作用等は限りなく抑えられる。
そうして、被験者として選ばれたボクの両親は、こんなバカバカしい人体実験には賛同出来ないと当たり前に拒否したが、普通の夫婦が国の決まりに逆らえる筈がなかった。
政府に望まれて産まれたボクの身体は、妊娠が可能な“成功体”だと喜ばれた―
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