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 第1章-14  「何故この学園に呼ばれたのか、わかってるね?」  「えっと、はい……」  「二人は、云わば国の研究対象であり、国家が守るべき者で、まだ世間に明かされていない国家機密を背負っている事になります」  「え、じゃあやっぱり、御園くんも…?」  櫻さんが言わんとすることは何となくわかった。御園くんへ視線を向けてみたが、相変わらず何も反応はなかった。代わりに、櫻さんが深く頷いたのが、視界の端で見えていた。  …そっか、ボクだけじゃなかったんだ。こんな不幸な運命を辿るのはボクだけで、この世界の誰も、ボクの事なんかわかってくれないと思っていたけど。そっかぁ……  「だから、ね、言ったでしょう?そんなにナーバスになることないよって」  「そういう事だったんですね、」  「ヒナくんも早く心開けると良いんだけどねぇ?」  「うるせぇ」  「ほらまたそんなこと言って。」  安心、って言う言葉を使って良いのかわからない。だけど、同じ境遇の人が、同じ日本に、同じ学園にいると思うと、両親から説明を受けた時のような不安や絶望感からは、かなり解放された。  「まぁ、それでほら、小中でもなかった?女の子がコソコソ周り気にしてトイレ行ったりとか」  「…確かに、」  「これからは、二人がその女の子の立場になるんだよ。私も男だから、本で読んだだけの知識しかないけれど、生理独特の痛みや匂いみたいなのもあって、でも、それを周りのクラスメイト達に悟らせてはいけないんだ。普通の学校では厳しいと思う。けれど、この学園なら周りに女の子が居ないからそれに気付くこともそう無いだろうし、うんと過ごしやすい環境なはずだよ」  そっか、大変なのは、クラスや学園に馴染める事だけじゃない。順調にいけば月に1回、生理というものが来るし、ボクはまだ数回しか経験していないけれど、未だそれに慣れる感じしないし、もう大分心が折れそうになっていたりもする。  ……やだなぁ。なんでボクだったんだろう。なんでボクは産まれる先を選べなかったんだろう。

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