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夏祭り

そして花火大会当日… 「じゃあ…皆8時にここ再集合な~!!二人で消えたりしたら皆そう言うことだと思っちゃうゾ☆」 きゃはは~とクラスメイトの声が響いて皆ばらばらと散っていく カップルで組ませてもらったやつらは仲睦まじそうに腕をからめあっていた いろいろ言ってた割には皆楽しそうな雰囲気だった でもオレは気分が暗いままだ 銀の視線も痛い… ……よりによって彼女と…… 気分が沈むというかどうしたらいいかわからなくて緊張で胃が痛い… 「……………」 「……………」 なんかの本で悪い予想は良く当たるって読んだ いや…別に悪いってわけじゃないんだけど… 俺とペアになったのは桜井さんだった… いつもと違って髪を頭の高い位置でおだんご?に縛って紺色に赤い花柄の浴衣を着て髪にも同じ花の簪を挿していた 手には赤い巾着を持って下駄を履いている もうすでに他のグループは散っていてこの場所には俺らとこっちを恨めしそうに見てる銀とその銀に首根っこを掴まれて縁日に向かうのをストップさせられてる健斗がいた どうしたものかと考えを巡らせていたら俺の隣で涙目になってぷるぷると震えているその『彼女』が口を開いた 「あ…あ、あ…の……す、ぎたくん…ご、ごめ…んね……」 「……あ…いや…その…」 「……ご、ご、ご…ごめん、ね…わ、わわ、わ、たし…か、帰るっ!!かえる、から…だ、大丈夫だよ!!」 「え、ちょ…さ、桜井さん!?」 思わず俺の隣から走ってどこかに行きそうだった桜井さんの腕をつかんでしまった うわ…腕ほっそ…じゃなくて… 「あ、の…行こう?」 「え…で、でも…あの…その…」 「い、や…あの…俺…別にその…気に、しない、し…そ、それに、その…う、ん…」 「わ…私は…その…す、すぎたくん…さえいいなら…だ、大丈夫…だよ…」 「………」 「………」 沈黙が痛い、銀の視線も痛い… 大丈夫だって言ってんだから早く行けよ… 健斗は早く縁日を周りたいらしくうずうずと銀と縁日の方を交互に見ていた と、とにかくこのままは空気的にもいろいろまずい…とりあえず縁日に… どうしたらいいかわからなくて桜井さんの手を握って引っ張った 銀と桜井さんはなんかびっくりした顔してたけど… 「いこ、桜井さん」 「え、あ…手…手が…手がぁ…」 「…?」 なんか桜井さんがブツブツ言ってたような気がしたけど良く聞こえなかった とにかく何か食べて…適当に時間潰そう… 桜井さんの事そう言う感情では見れないけどでも今日で少しでもわだかまりが無くなって普通にできるようになったらいいな… そんな甘い考えでそのままお祭りの人ごみに紛れた

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