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ダメダメな私

手…手が…手がぁ…!! 正直今自分に何が起きているのかよくわからなかった 頭がグルグルして顔は熱いし手も暑い…手…… 「……!?…」 手!? 杉田くんが私の手を握って走っている 思い出した、私くじ引きで杉田くんとペアになっちゃって…帰ろうとして…それで… ボンッと顔が熱くなる 手…手握られた…す、杉田くんが…わ、わわ、私の手…手… 杉田くんの手はもともと平均的に見ても小さい私の手よりずっと大きくてちょっとだけ骨ばってて暖かかった で、でも…手汗とか出てたらどうしよう…き、緊張してなんか…気分わる…うぅ… そのまま杉田くんに腕を引かれて走る 私は運動があんまり得意じゃないからもうはぁはぁなって苦しかった 杉田くんはサッカーやってたみたいだし体力あるんだろうな… なんだか男の子って感じがした ぽーっとそんな風に杉田くんの後姿を眺めて一生懸命走ってたら突然杉田くんが止ってどんっと背中にぶつかってしまった 「わっ、っぷ…!!」 「わっ、あ…さ、桜井さんご、ごめ…」 「だ、だいじょうぶ…」 杉田くんが慌てて私を道のわきの段差に座らせてくれる 杉田くん…優しいな… 走ったせいでかそれとも別の理由でか顔が熱かった 顔をぱたぱた扇ぐ 杉田くんは心配そうに私の顔を覗き込んでいた 「……さ、桜井さん浴衣だし…下駄だから走り辛かった…よな…?ごめん…」 「あ、ううん…だ、大丈夫…だよ…」 「顔も赤いし…足も痛いでしょ?お、俺なんか飲み物買ってくるよ…?」 「え!?そ、そんな悪いから私も…」 「いいよ、座ってて」 「……あ…」 そう言って杉田くんはどこかへ行ってしまった 人がたくさんいるとこに取り残されて(杉田くんは私のために飲み物買って来てくれようとしてるんだけど)少し心細くなる ……はぁ…私ダメだなぁ… まだくじ引きして杉田くんと一緒になってここまで移動してきただけなのにすでにテンパって逃げようとしたし…杉田くんの背中にぶつかるし…飲み物かわせに行かせちゃうし…心配かけちゃうし…はぁ… さっき皆バラバラになるまえに夏輝ちゃんと話したことを思いだした 『ちづやったじゃん!!杉田とだってよ』 『な、なつきちゃ…ど…どうしよ、に、逃げないと…』 『……何からよ…ほら、ちづ落ち着いて?せっかく杉田がいるからって寒いの我慢して浴衣着て髪もきれいにして可愛くしてきたんじゃん?』 『で、でも一緒にまわるなんてム…』 『無理禁止、頑張りなってば、もしうまく行けば明日から杉田と彼氏彼女かもしれないんだよ?ちづ言ってたじゃない、一緒に本屋さんめぐりして可愛い雑貨屋さんに行って猫カフェに…』 『や、やめてよこんなとこで!!』 『とにかく…頑張りなよ?ちづが珍しくついてたんだから、応援してるからね!!』 そう言って夏輝ちゃんは早々にお祭りに向かった ちなみに夏輝ちゃんはみんなでお祭りに来ようって言いだした男の子と一緒に回ってる 一緒にタコ焼き食べませんかっ!!って言われてた…夏輝ちゃんモテるもんね… それに比べて私は… 「……はぁぁ…」 深くため息が漏れた せっかく夏輝ちゃんが少しでも自信を持てるようにってかわいくしてくれたのに全然生かせて無い… そう思うと気分が沈んだけど、でも同時に悔しくてがんばらないとと思えてきた が、がんばらないと…だってもうこんな機会ないかもしれないし… よ…よし…が、がんばる…よ…!! ま、まず…す、杉田くんにありがとうって言って…それで…か、かか、彼女…さんいるの?って………聞いて…で、それで…えっと…えっと… 指を折ってやることを考える でもそれが裏目に出てあせあせと一生懸命杉田くんが返ってくるまでイメトレをしようと思って集中してたせいで私は背後から近づく人に気が付かなかった

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