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空耳

「…………ほんとお前最悪……」 「そう?ありがと?」 「うるせぇ……」 銀がニヤッとしたしたり顔でこっちを振り向いて嬉しそうに言った 銀の肩越しにキッと睨みつけてみるけど余裕そうな銀の目になんだかばつが悪くなってふいっと目を逸らして銀の肩に顔を埋めた コイツ何言っても響かねえから腹立つ…知ってたけど… 時間的にはもう夕方で空がオレンジ色になってた 母さんたちに昼過ぎに帰るって言ってたのに… しかも俺は足腰立たなくて腹も痛くて銀の背におぶられているのに帰宅ラッシュと重なってしまって駅では人の視線が痛かった 夕方まで休めば一人で帰れるんじゃないかとねばってみたけどその努力もむなしかった 何だよ…にこにこしやがって… 「………………ほんと…なんなんだよ……」 「んー?まななんか言うた?」 「………………………なんでもない……」 恥ずかしくてぎゅーっと銀の服を引っ張って顔を押し付ける もう何度もこうやって銀におぶって連れて帰ってもらう羽目になってるのに学習しない自分も嫌だった ………だんだん慣れてきてちょっと嫌じゃないかもとか思ってるし…… チラッと顔を上げてみると銀の髪が目の前でサラサラ揺れていた 夕日に透けて眩しい… 銀の白い横顔に夕日があたっていつもよりいっそう銀が綺麗に見えた ……………なんでこんな奴好きなんだよ……くそぉ… そんな事考えてる時点で惚気っぽかったけど俺も俺自身が良くわかってなかった 恋はするものじゃなくて落ちるものだとなんかで見たけどそれが良くわかる気がする… だってそうじゃなかったら俺はこんな奴絶対好きにならない 変態だし…エロいし…無駄にイケメンだし…ワガママだし…子供だし…エロいし…頭湧いてんのかと思うような色の髪してるし…エロいし…………頭は湧いてんだろうけど… …………………好きだ……… 心の中でボソッとそうつぶやいた 母さんや父さんにも分かってほしいし、できることならみんなに認めてほしいし、きっとだれにも渡したくないと思うほど好きだ…… 「……………………す……き……」 小さく小声で誰にも聞こえないど小さな声で今度は呟いてみた 「ふふっ、オレも好きやで?まーな?」 「ッ…!!………も、って…かってに、一緒にするな……」 「あれ?まなもオレの事好きやって言ってくれたんやと思ったんやけどなぁ…」 「………うるせ…言ってねえよばか……」 「ふふっ?そう?残念やわぁ…」 銀はそうとも思ってないような声で言う また銀に負けたみたいで悔しい… 「…………………………………すきだよ…………」 「ふふっ、よく空耳が聞こえるわぁ」 「………ばーか……」 こうして俺は銀にドキドキさせられっぱなしのまま家まで連れて帰られた

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