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両親おまけ 吉田家父
「小動物ちゃんは猛と仲良しなのねぇ~…猛にいいお友達ができてママ嬉しいわ」
母さんがそう言ってふふっと優しく笑った
母さんはオレに友達が少ないことを知ってたしそれが家の事を任せっきりにしている自分たちのせいだと思ってる…
母さんの高校生活は楽しいことがたくさんあったらしくて、高校に入るなりバイトを始めたオレに高校生なんだからそんなに家の事ばっかり気にせずもっと高校生らしく青春して楽しんでほしいと母さんに言われたこともあった
でもオレがそうしないのは別に望んでそうなわけではなくて中学の時から不良って言う肩書がついてしまって若葉みたいな、そう言うのに憧れを抱く連中しか周りにいなかったせいだ
オレはそう言う連中とつるんだり、上下関係がどうだとか、下に付けだとか、舎弟にして欲しいとかそういうのが嫌いだったから必然的に一人になって普通の奴らは怖がって話すらまともにしてくれないからもっと一人になっただけだ…
オレ自身別にそれでもいいと思ってた
……先輩と出会うまでは…
だから母さんがホントに嬉しそうにそう言うから家だったこともあってフッと気が抜けてしまってた
先輩には交際を秘密にするって言う概念がないのだ…
「違うよ?おれと猛は『恋人』なんだよ?」
気付いた時にはもう遅く、先輩は胸を張って意気揚々とそう宣言した
「………」
「………」
「………」
「……?」
雫と美香がキャーとはしゃぎ、それをまねて理沙もはしゃぎ、洋太はアチャーって顔をして、先輩と両親はきょとんっとした顔をしてた
たぶんきょとんの種類は違うんだろうけど…
両親はともかく先輩のはなんで二人が無反応になってしまったんだろうって感じのきょとんだった
はぁ…っとため息が漏れる
先輩はこっちを見て助けを求めていた
……言ってしまった……こうなってしまったらもう腹を括ってしまうしかない…
一つ大きな深呼吸をした
「……あの、さ…母さん…?父さん…?」
「………」
「…あ…な、なぁに?猛…」
「…………この、人さ……紺庄先輩は……俺、の恋人なんだ……?」
「………」
「………」
「……その…言いたいこと、わかる…んだ、けど……」
「………」
「………」
先輩がそばに寄ってきて不安そうな顔をした
大丈夫ですよと先輩の頭を撫でる
先輩は心地よさそうにきゅっと目をつむって頭を撫でられてた
いずれ話さないといけないことだから…
父さんはじーっとオレを見つめて黙ったままで母さんはオレと父さんの顔を見比べて心配そうにしてた
じっとして父さんを見つめ返す
しばらく沈黙が続いた
姉貴も美香も洋太も理沙も黙って父さんがなんて言うかを待った
「………そうか……」
でも結局父さんが言ったのはそれだけだった
肯定も否定もとれない返事に困惑する
でも父さんはそれ以上何も言わなかった
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