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両親おまけ 大事に
その後誰もさっきの紺庄先輩の発言には触れずなんだか妙な空気で皆で夕食を取った
紺庄先輩は自分がまずいことをしてしまったんだと思ってシュンとして元気がなくせっかく作ったぷりんも半分食べたところで食べるのをやめてしまってた
「………」
「………」
「………」
………………気まずい……
いや…でもあそこで誤魔化すのもおかしいし…なにより紺庄先輩にもうしわけない………間違っては無かった…はず…多分…
姉貴はしれっとした顔で晩飯を食って、美香と洋太はおろおろしてた、理沙までもおかしないつもと違う空気を感じ取っていたのかなんだか不安そうだった
悪い事したな…
こうして微妙な空気の夕食をすまして紺庄先輩は洋太と理沙に奥の部屋でゲームをしようと連れてかれ、オレは台所で晩飯の片づけをしてた
ちなみに今日の晩飯はほとんど父さんが作ったものだ
母さんの家事力は正直皆無というかなぜか卵を割って焼いたら黒いぼこぼこしてる物が出来上がり、洗濯をすれば家じゅう泡だらけになるほどのセンスだから母さんは基本家事をしない
オレに料理を教えてくれたのも父さんだ
「………」
「………」
そんな事を思いだしながらぼんやりと皿を洗っていたらおもむろに隣に父さんが来た
無言のまま腕まくりをして洗った皿を拭いてくれる
「………」
「………」
気まずい…
でもここでオレが何か言えるわけもなく黙っていた
向こうの部屋で洋太たちがゲームをしている音が聞こえる
「………」
「……猛…」
「………はい…」
黙々と皿を洗って沈黙に耐えていたら父さんが声を掛けてきた
手元の皿を見たまま淡々としている
……多分…先輩のこと、だよな…?
傍に先輩がいないことを無意識に確認した
多分これから父さんの言うことは一親として当たり前の事なんだろうけど先輩は純粋で素直だから聞いたら傷つくかもしれない…
そう思った
「……彼は…健斗くんって言ったか…」
「………高校の先輩…一年と少し前ぐらいから付き合ってる…」
「……そうか…」
また父さんはそう返事をした
また黙々と皿を洗い、皿を拭く
……オレの大事な人なんだ…
「………好きなのか?本当に自分のすべてを尽くしてもいいと思えるほど好きなのか?……それとも…」
「好きだ」
「………」
「だから家にも連れてくるし、父さんと母さんの前で紹介したんだ」
父さんの目をまっすぐ見てそう言うと父さんもこっちを見ていた
目が合って目を逸らしてはいけないと思った
「…………………………そうか…………」
父さんは少し間を開けてそう言うとまた黙々と作業を続けた
「………」
「………」
またしーんと静かになる
でもなぜかさっきほど沈黙が息苦しくなかった
「……猛…」
「………はい……」
またしばらくして呼びかけられる
今度は父さんがこっちを見ていた
「ならいい……大事にしてやれ…」
「!!」
そう言って父さんは拭いた分の皿を棚に戻すと洋太たちがいるのとは別のふすまで仕切られた部屋に入って行った
…………
オレはじーっと父さんが入って行ったふすまの隙間を見つめてた
認め…られた…?
ちょっと間を置いてどくどくと心臓が早く大きく波打ち始め頬が上気した
紺庄先輩がいっつも言うぱぁって感じの気分が今良くわかった
父さんに認めてもらえたんだ
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