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両親おまけ 普通じゃない

「ほら!!健斗さん!!きのこ出てるよ!!ショートカットしないと!!」 「え?あ、あぁ…」 「今日の健斗ちゃん弱いよー、あ、ほらまたアイテム取れなかった!!」 「ご、ごめん…」 ご飯が終わって洋太君と理沙ちゃんに誘われてゲームを一緒にしてた テレビにつなげる据置のゲームのレースゲームだ おかしいな…得意なはずなんだけど… 何だかさっきからぼんやりして集中できない ちらっとさっきご飯を食べた部屋を見て見ると猛が台所でお皿を洗っててその横で猛ぱぱがお皿を拭いていた 何か話してるのかな… …………おれの…ことかな… さっきおれと猛は恋人だよ!!って猛のぱぱとままに言ったら猛のぱぱとままは変な顔をしてた いや、ぱぱは変な顔してなかったけどままが変な顔してたな… しかもその後の晩御飯の時も変な空気で…おいしいはずのご飯もなぜかあまり食べられなかった あれ…やっぱり言っちゃダメ…だったのかな…… しゅーんと気持ちが沈んだ だって友達に猛のいいとこはなしてもみんなへんな顔するし……変な顔しないの…銀とか学とか志波君とか若葉ちゃんだけだし…… 前学になんでみんなへんな顔するのかな?って話したら学はちょっと困った顔して『健斗にはわかんないのかもしれないけど普通じゃないから皆どうしたらいいかわからないんだよ』って言われた 『猛を好きなのは普通じゃないの?』って聞いたらもっと困ったような、ちょっぴり悲しそうな顔をされてそれでも『男が男を好きなのが普通じゃないんだよ』って教えてくれた ………猛のぱぱやままも…そう思ったのかなぁ… おれのぱぱは違った…猛って言う一つ年下の男の子が好きなんだよ、付き合ってるんだよって言ったら『わぁ、それはいいですねぇ』ってニコニコして喜んでくれた でもやっぱりそれは普通じゃないのかなぁ… なんだかどんどん悲しい気分になってしまった 猛…おこられちゃうのかな… そしたらおれの顔を少し心配そうにのぞいてた洋太君が声を掛けてくれた 「……健斗さん、兄貴の事?心配してるの?」 「えっ…」 「元気ないからそうかな?って…」 「あ…」 洋太君がそう言うと理沙ちゃんも寄ってきておれの顔を覗き込んで『健斗ちゃん、元気ないねぇー』って心配してくれた よしよしって頭を撫でてくれる 「………大丈夫だよ、多分…」 「え…?」 「……兄貴…強いし…父さんも強いけど…それに父さんだってそんなに話の分からない人じゃないよ?」 「………」 理沙ちゃんも『元気出してー』って言ってくれる 嬉しかったけどやっぱり不安だった おれのせいで嫌な思いして欲しくないな… 「それにさ、ほら…」 洋太君がおれを励ましながらおれのうしろを指差した ゆっくりとふりかえる 「……小動ぶ…健斗くん…」 「!!」 そこには眉毛が下がってなんだか申し訳なさそうな顔をした猛ままがいた 扉の影から顔を半分だけ覗かせている 猛ままが部屋に入ってきて俺の前に座る わざわざ正座して居住まいを正した 「……その…健斗くん…あんな反応しちゃって嫌な思いさせちゃったわね…」 「えっ!!あ…」 「ビックリしちゃって…大人げなかったわね…ごめんなさい……」 猛ままが深く頭を下げた 大人の人に頭なんてさげられたことないからあわてる 「い、いいよ、お、おれ、気にしてない、よ…」 「ほんとう…?」 「ほんとほんと」 ぶんぶんと首を縦に振る 猛ままはちょっと安心したみたいで『良かったわ』って言った 頭をあげてくれてほっとおれも一安心する でも次の瞬間ぐいんって思いっきり引っ張られて気付くとまた猛ままに抱き締められていた 「あーん!!よかったぁ~私小動物ちゃんに嫌われたらどうしようかと思って…」 「た、たけるまま…く、くるし…」 「パパにもあんなのは良くないって怒られちゃうし…猛にも嫌われちゃうかもってぇ…」 「……い、いきが…」 うわーんっと猛ままは泣くふりをしながらおれに自分のおっぱいを押し付けていた い…いやだと思われてたわけじゃ…なかったの、かな…? なんだかさっきよりも悲しい気持ちが楽になっていた 「……恵梨佳…健斗くんが苦しがってるぞ…」 「あ~んぱぱぁ~」 「っぷは!!」 そして今度は猛のぱぱが部屋の入口に立ってた 猛のままに解放されて息ができるようになる く、苦しかった… 猛のぱぱの方に目をやると猛のぱぱもこっちを見てて目が合った 猛と似たなんだかきゅうって吸い込まれちゃいそうな目をしてた 「……健斗くんももう帰った方がいい…送って行ってあげよう…」 「あ…はい…」 猛パパはそう言うと外で待ってるから準備ができたら来なさいって言って行ってしまった ……猛パパは…もしかしたらまだ嫌なのかな…

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