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最後
それからの日々は忙しかった
俺は俺で大学進学の準備があったし銀も準備なんかがあったからなかなか二人でゆっくり過ごすなんて事もできなかった
それでも暇を探しては二人で過ごした
大概は一緒に家か外でご飯食べて話すってコースだったけれど必ず最後は銀とセックスした
「っう…んぁ…ぎ、ん…ぎん…」
「…ッ…っく…まな…」
銀は何度も俺の名前を呼び、そして自分の名前を呼んでほしがった
そしてよく写真を撮りたがるようにもなった
俺は………すこしだけよく泣くようになったと思う……
銀と寝るたびにあと何回こうしていられるのかを考え、切なくなって涙がこぼれた
そのたびに銀は黙って俺を抱き締めてくれた
俺と銀はいろんなことを話した
銀は銀の住むマンションの住所を教えてくれて鍵を貰い次第合鍵を作ってくれると言ってくれた…いつでも会いに来てくれていいしいつでも会いに行くとも言った…
それから大学に入ったらバイトをするからお金貯めて一緒に旅行でも行こうかとか…免許がとりたいとか、そんな当たり障りのない事も話した…
こうして日に日に銀との別れの日は近づいて行った…
「………」
とうとう明日は銀が飛行機に乗って行ってしまう日だった…
「あ、まなそれはもういらんからそっちでええわ…」
「…わかった…」
「これはさっきの服の箱な?制服とかはいっとるやつにいれとって?」
俺は銀に支持を受けながら銀の荷物の整理を手伝っていた
そう言えば銀が転校してきたばっかりの時もこうやって荷物の整理を手伝ったことを思い出した
確かあのときは銀の玩具を見ちゃって…大変だった…
思わずふうっと溜息が漏れた
銀の荷物は相変わらず少なかったがそれでも引っ越して来たばかりの時よりもよっぽど増えたように思う
なんだか銀の生活感があって笑みがこぼれた
「まーな…なに笑っとんの?」
「いや…銀、持ち物増えたなと思って」
「?何がおかしいん?」
銀が怪訝そうに顔を尋ねる
またその様子がおかしくて笑ってしまった
銀は頭に?を乗せたまま作業を再開する
でも少しすると手を止めてこっちに寄って来た
「なぁ…まーな…」
銀が座ったままダンボールの中の弄ってた俺の背中に寄りかかる
腰に腕をまわしてはフンフンとうなじに鼻をすり寄せた
「……銀…今日はしないんだろ…?」
「………だめ…?」
銀はかわいらしく首をかしげる
そもそも銀が言いだしたことなのに…
明日は引っ越しだから今日はしないって言ったのは銀だった
しかもそのために昨日から俺を泊め、昨日の晩は散々ヤリ殺されるかと思うぐらいヤった
まだ痛む腰を摩る、じんわり痛みが残っていて思わずため息が出た
銀はねだるような視線でこっちを見ている
もしかしたら明日が『最後』だということを気にしているのかもしれない…
それは俺も同じだった
銀が甘えた声を出す
「まなぁ…」
「………これ…片づけ終わったら……すこしだけ…だからな…」
「!!」
かぁっと顔が熱くなる
銀はにんまり笑って俺の口にキスをした
そして俺は次の日この行為を許してしまったことを心底後悔した…
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