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学のお願い

「まな約束…我慢せんといて…絶対…………悲しいことあったり辛いことあったり嫌な事あって、まながオレに話したいと思ったら絶対電話して…」 「………」 銀は俺の体を強く抱きしめながらそう言ってくれた 嬉しかった… これならきっと離れても大丈夫だと思えた きゅっと銀の体にしがみ付く 慣れ親しんだ銀の匂いが俺の体に染み込んで行くみたいだった ずっとこうしていたかった… その体制のまましばらくじっとしていた そして銀は『よし』と小さく声を出してから少し俺から体を離し俺に『大丈夫?』と聞いてくれた 銀の体が離れたことが少し心細く名残惜しい気もしたが、銀の質問に頷くとホッとしたように銀は笑った 「じゃ、もう冷めちゃったやろうけど…ご飯食べちゃおうか?チンする?」 「あ、ぎん…待って…」 「……?」 「あ…あの…」 立ち上がった銀の服の裾を思わず握る けれど自分が言おうと思ったことが上手く口から出て行かなかった 『あのっ…あのっ』と言葉が詰まる 銀は待っていてくれた 「その…ね…あの…たまにでいいの…その…大学、での…写真……送ってほしいな…って……」 「………」 そう言ってかぁっと顔が熱くなった こんなの…ストーカーみたいじゃないか… 急に恥ずかしくなって言ったことを後悔した ただ銀が向こうでどうしてるか、言葉だけじゃなくて写真とかでみたいなって思っただけだったんだけど… でも銀は優しく笑って『もちろん』って言ってくれた そしてまた俺に背を向ける 慌てて言いつのった 「あ、あと…あと…」 「……?」 「その…さ…えと…」 そしてこっちの方が恥ずかしい願いなことに気付いてハッと息を飲んだ 銀は首をかしげて『どしたん?』と待っててくれる もう言わないわけにはいかない… 「………その……もう、いっかい……ぎゅってして…ほしぃ…な…って………」 「……へぇ…」 「な…なんだよ…!!わ、わるいかよ…!!」 「いいや~?」 銀はにまにま顔でそう言うと俺の隣に再度腰を下ろしこっちに向かって手を広げた あくまで俺がしがみつきに行かないといけないらしい 「ほーら?まーなちゃん?おいで?ぎゅってしたるで?」 「………ッ!!」 「まーなちゃん、寂しがりやなまーなちゃん?」 「………うるさい…」 「でも来てくれるんや?」 「………………」 銀は俺を抱きながら嬉しそうに笑っていた

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