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恋人の成長
引っ越し当日の朝…
早く起きて隣で眠るまなの寝顔を眺めとった
「……Zzz」
「………」
かわええ…
たまに鼻をひくひくさせたり、夢を見ているのかふにゃぁ…っと表情を変えたりするのが可愛くて見てて飽きんかった
まな…
なんだかたまらん気持ちになってまなの頬に触れたり、頭にキスを落としたりするうちにまなは起きてしまった
体が辛いみたいで顔をしかめとった、声もガラガラしとる
でも水を飲ませて頭を撫でてやると心地よさそうやった
「まな、まだ6時やで?もうちょっと寝ててもええよ?」
「……ん…いい…起きとく…」
「そう?」
まなはそうはいったものの眠そうに眼を閉じたまま起き上がろうとしない
それどころかオレの体に手をまわして体をくっつけてきた
しきりとオレの匂いを嗅いでいるようだった
「………まな…?寂しいん?」
「………」
そう尋ねてみてもまなは答えなかった
でもそのかわりに強く体を押し付けてきた
まなの頭を撫でてやる
そんなまなを見て小さく頼りなさげだと思った
でもそんなまなに安心していた
きっとオレはオレに依存してくれるまなに依存してたんや
「………大丈夫やで…まな…大丈夫…」
「……うる…さい…大丈夫じゃ、ない…」
「なんで?大丈夫やって~オレまなの事大好きやもん、まなもやろ…?」
「…………うるさい…」
くしゃくしゃ頭を撫でてやる
まながオレを必要としてくれているが嬉しかった
でも…
まなは突然オレをぐいっと押して離れた
それからまっすぐにこっちを見上げもう一度オレの胸に頭を押し付けてからベッドをおりた
なんだかよくわからなくて目をぱちぱちと瞬かせる
まなはこっちを振り向くとオレをみてふわっと笑った
思わずどきっとした
「…今日…朝ごはん俺作るね」
「あ、あぁ…」
まながゆっくり部屋から出て行く
俺は一人部屋に残った
「………」
………まなをリビングに見送ってなんとなく、自分の手を眺めてみた
さっきまで撫でていたまなの髪の毛の柔らかい感触が残っているような気がした
そうか……
さっきのまなの態度を思い出した
オレに縋って泣いたり、いやだって俺を困らせるような事を全く言わなかった…
…まな…頑張ってくれたんやなぁ…
少しさみしく感じつつもオレのためにまながそうなる努力をしてくれたことが嬉しかった
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