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4時間前の平穏

「………」 「………」 銀の手をきゅっと握ると銀もその手を握り返してきてくれた 今は電車で空港に向かってた あと1時間もしないうちに電車は空港について、あと4時間もしないうちに銀を乗せた飛行機は飛び立ってしまう… 朝一緒にオレの作った朝ごはんを食べて、銀の荷物を引っ越し先に送って、家で少しだけゆっくりして…正直あまり普段と変わらず過ごした ……… なんとなく銀の方に視線を向けると視線があって銀はフッと笑った 目が合ってしまって何か言わないといけない気がして焦る 「……げ…元気でね…」 「まなもな?辛い事あったら言うんやで?」 「…ずっとそればっかり…大丈夫だよ…」 「やって心配なんやもん」 「…ちょ…ちょっと…ここ電車…」 銀がんーっと唇を寄せてきたのを左手で制する 銀は不服そうな顔をした 「……けち」 「……あたりまえだろ…どこだとおもってんだよ…さっさと顔どけろ…」 「………」 「…?銀?」 なかなか顔を引かない銀に首をかしげる 銀は俺の手をじーっと見ていた 「…銀?」 「………」 様子のおかしい銀にどう反応したらいいのかわからず首を傾げて困っていると銀が突然俺の手の薬指に吸い付いた っちゅ…っというリップ音が電車に響く 「ッ!?」 その後も銀は俺の左手の薬指の付け根…ちょうど指輪をはめているところをっちゅっちゅっと音を立てて吸い続けた 「ぎ、ぎん…ちょ…」 「………」 それでも銀はやめようとしない 手を引くと銀が顔を寄せてくるせいで手を引っ込めることもできなかった 「や…や、やめろって…!!」 「いてっ!!」 なんだかぐるぐるしてどうしたらいいか良くわかんなくなって銀の顔を思いっきり押した 「まな、いたぁ…」 「だ、だってお前が…!!」 「しーっ…」 銀に言われてハッとして周りを見ると俺の大きな声を怪訝に思った人たちがこっちを見ていた 恥ずかしくって小さくなってると銀に笑われた くそ… 銀に文句の一つでも行ってやろうと顔を向けた でも目があった銀はすごく優しそうな顔をして笑ってて何か言う気も失せてしまった… 「……!…ん、まな猛がた空港ついたって」 「………え…あ、あぁ…」 「お腹減ったぁ~まなお昼何がええ?空港で一緒に食べよーや?」 「…う、うん…」 思わず見とれてしまった自分に気付いて頬が熱かった 銀と離れる4時間前のことだった…

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