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2時間前の衝動
「ん~、こんなんでええかなぁ~、まなどう思う?」
「あ、あと…金さんの分…」
「これだけでええな」
「………」
オレとまなはさきほどちょうど空港について、向こうに着いてからの数日分の服なんかが入ったスーツケースを預け、両親へのお土産をみていた
向こうで両親と久々に会うねん
………あとあのくそ兄貴と…
家族全員そろって飯食うなんて多分俺が中学生やった時以来やと思う…
兄貴といろいろあったし…
とにかくまなも一緒に選んでくれて無難にこっちのお菓子を買うことにした
日本の酒買えたら良かったんやけど未成年やしな
兄貴の分はしらん…
会計を済ませて店を出るとどちらともなく近くの壁にかかっていた時計を確認した
飛行機の出発時刻まではあと2時間やった
2時間…
まなと部屋で並んで映画を見たのも2時間、ゆっくり料理してゆっくりご飯しても2時間、一緒にベッド入ってイチャイチャしても2時間…
でも今までまなと過ごしてきた時間を考えるとあっという間のような気がした
「………」
「………」
オレも、まなも、その場に立ち止ったまま動こうとしなかった
まながきゅっと心細げにオレの手を握る
まなは空港についてからもずっとオレの手を離そうとしなかった
多少は周りを気にしたり体の影に隠したりはしても手を離そうとは一言も言わない…
「……あと、二時間…だね……」
「……せやな…」
まなはオレと目を合わせないままそう言った
まなはあの日以来俺に寂しいとか、行って欲しくないとかそんなような事は一度も言わなくなった
ただ笑ってオレが気持ち良く旅立てるように気を使ってくれとった
でもまなは自分にですら嘘をつくのが下手や、根は素直やからふとした瞬間の表情なんかにどうしても出てしまう
まなは言わないけれどきっと寂しく思っとるはずや…そしてオレも………
「………」
「………」
時計を見つめるまなの横顔を眺めた
まなの猫みたいに大きな瞳がうるんで揺れているような気がした
オレがまなを見とることに気付いとるはずなのにこっちを見ようとしない
何かにグッと耐えているようやった
そんなまなが愛おしくてたまらんかった…
玩具なんかやない…セフレでも、静香の代わりでも、美人が見つかるまでのつなぎでもない……まなや…まながええ…
「……まな…こっち…」
「…?」
突然湧いた衝動に突き動かされまなの手を引いて歩き出した
そのままそばのトイレに入ってまなと一緒に個室に入る
まなは驚いたような顔をしとったけれど抵抗はしなかった
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