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最後の告白を
「……オレは頬付クンには勝てない…」
「……え…」
翔さんの腕により力がこもる
……なんで、銀?
「……学はね…頬付クンが好きで…好きで…たまらないんだよ…」
「…………俺は…翔さんが……」
「………うん……ありがとう…学はオレの事好きなんだよね…」
「……はい」
「それもね…間違いじゃないと思うんだ…」
翔さんの声が震えて息も浅くなって涙の量も増える
でもゆっくりはっきり話してくれた
「学は…オレ「も」好きなんだよ……………でも…頬付クンの方が好きなんだ…」
「…………………」
「オレは頬付クンには勝てない…」
翔さんが繰り返す
翔さんの体は震えてて涙の量もどんどん増えてこのままどうにかなってしまいそうなぐらい頼りなく見えた
いつもの大人で優しそうな翔さんからは想像できなかった
「…………別に…俺は、銀なんて……」
「…ダメだよ……」
翔さんがまたハハッと声だけで笑った
翔さんの腕の力が強くなって体をより押し付ける
「……学…学はね、きっと自分が思ってるよりもずっと負けず嫌いで照れ屋なんだ…だからちょっと初めに強がって嘘ついちゃって……そしたらそれを嘘だって言えなくなっちゃって……頬付クンもあんな性格で気にしないみたいな態度とられて、辛くて……自分にも嘘ついて……ほんとにそういうことにしちゃおうって思っちゃってるんだ…」
「……………」
「……でも…ダメだよ……
きっと学はオレといて頬付クンは嫌いだって言い聞かせてるのより、ちょっとだけ正直になって頬付クンのところに戻った方が幸せだしきっと楽しいよ……今のままは辛いでしょ?」
「………でも…銀はもう……」
言ってて自分でも声が震えた
翔さんは辛いのに俺の事を思って言ってくれてる…今俺が泣くのはダメだ…
「…………大丈夫だよ…」
翔さんが頭を撫でてくれる
「もし学の事思って無かったら学がレイプされてもあんなに怒らないよ…」
「…………」
「あの時の頬付クン、ものすごい怖かったんだから」
翔さんが顔を俺の肩に埋めて笑いながら言う
もう翔さんは声といっしょに消えそうなぐらい細くて小さい気がした
「…………ごめんね…オレまた学がつらくなるような事しか言えない……」
「……………」
「………好き…大好き…愛してる…誰よりも学が好き…」
「……………」
「………負けず嫌いで、照れ屋で、素直じゃなくて、損しやすくて……でも気が利いて、人のことをよく考えれる学が好きだよ…」
「……………」
「もし学が頬付クンの事が好きでも…もうオレの事が嫌いでも……もう会えないとしても……オレは学が好き…ずっと大好き…愛してるよ…」
「……………」
翔さんは目を合わせて笑いながらそう言ってくれた
ずっと笑顔で俺の目を見て言ってくれてたけど声は震えて涙も止まってなかった
それでも翔さんは今までのどんな笑顔よりも素敵に見えた
今度俺は「俺もです」と言えなかった
「……オレと付き合ってくれてありがとう…学…」
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