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出発前夜【猛】

「……………」 「猛!!!あんた明日の準備できてんの!?」 「兄ちゃん旅行行くんだよね?いいなぁ~」 「あたしも行きたい!!」 「ダメだよ!!たけ兄は健斗さんと濃くてあま~い夜を……」 「やめろよ!!」 一週間ぐらい前に頬付先輩から電話が来た なんでもスーパーの福引で旅館のペア宿泊券を2つ当てたらしい… ……オレはあの人が何者かいまいちよくわからない… とにかくずっと迷い続けていたけど紺庄先輩から『旅行の話聞いた!?行く?行くよね!!楽しみだなぁ~、あ!お弁当作ってきてね!!行きバス使うみたいだから!!』ってメールが来たから断れなくなった ………なんだかんだ言って…行きたいし…… で荷物を詰めてたら姉貴と美香が騒ぎ出して家中大騒ぎだった… 「猛わかってるの!?初めてってすごく痛いらしいわよ!!ちゃんと上手に解すのよ!!後ろが硬くなっちゃってたら怖がってるって事なんだからちゃんと前も弄って気持ち良くしてあげるのよ!!!」 「こうやってね穴に指を入れて丁寧に広げながらちょっとづつ指の本数増やして…で前立腺って言うぷくって膨らんでるところを探してそこをコリコリするんだよ!!それが気持ちいいんだって!!!」 「あんた健斗くんのお尻傷つけたりしたらもう家に入れないからね!!」 「でもわかんないよ…健斗さんかわいいから結構ヤっててもうがばがばで…」 「やだ、淫乱襲い受けの健斗くん!?なにそれ!!おいしすぎる…!!!」 「または健斗さんは立派ないちもつをお持ちでむしろタチかも…」 「キャーもうだめ!!それはそれでおいしい!!!!」 「もうやめろよ!!!」 こんな調子で散々生々しい説明を受けた… ………でも…痛いんだよな…… 学さん痛そうだったし… 毎週末明け必ず腰を痛めて階段登るのもやっとになってる学さんを思い出す… ……しかも…紺庄先輩…小柄だし… オレと体格差あるし………って言うか…そもそも何をしたらいいんだ? そういう経験が女子に対してすらなくてどうしたらいいのかわからない… ……………誰かに…聞く…? もうネットとかで調べてもいまいちわからなくて頭がぐるんぐるんしてきた… ………でも、誰に…… 姉貴や美香はダメだ……また生々しい話に巻き込まれるだけだ… 学さん…はきっとされる側だろうし… ………………… できるだけ関わりたくない人の顔が浮かぶ …………やっぱり…聞くの…やめようかな… そう思ったら今度は紺庄先輩が痛いって泣き叫ぶ顔が浮かんだ …………聞こう… スマホの数少ないメモリをたどって電話を掛ける 「………………」 「なに、猛どしたん?」 出た… 出来れば頬付先輩に自分から電話なんてしたくなかった… 「………」 「なしたん?」 「………その……なにしたらいいんですか……」 頭がぐるぐるして中途半端なところから話してしまった でも頬付先輩はわかったみたいだった 「あー…あれやで、こうやって穴に指入れてほぐして緩くなってきたら本数増やして前立腺を………」 「…もうそれは良いです…………どうしたら痛くないんすか…」 「何しても始めは痛いで?」 「……………」 「まな初め指2本で大泣きして入れた指出せないぐらい締めとったで?」 「……………」 「しかもその後しばらく尻解そうとしただけで泣いて怖がってオレから逃げるし…」 「……………」 「で結局ヤったのその何か月か後やし…」 「……………」 「あれ?猛聞いとる?」 ダメだ…学さんすら初めてでそんなだったなんて…… しかもオレ絶対頬付先輩ほどうまくやれないし…… そのままいちよう話しだけ聞いた でも不安は減るというよりむしろ増えた……

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