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呼び出し

学祭まで1ヶ月をきり 1年のオレのクラスでも準備が本格的に始まった 「あ、その…こっちは手足りてるから…」 「…こ、こっちも大丈夫…」 「ほ、ほら、あのグループとかさ…人少ないし…」 だからオレも手伝おうと思った 紺庄先輩に言われてから真面目に授業に出るようになった 授業が特にわからないわけでもないし授業中喋るような友達もいない むしろオレの周りの席の奴は若干オレを怖がって距離を取ろうとしてた… そんな視線にもうんざりして授業中はずっと寝ていた、夜もバイトがある… ただ学祭準備と言うとそうもいかない 学校中で準備が始まって教室の中がごちゃごちゃして 慈善で放課後学校に残って作業するやつもいる オレのクラスはクレープを焼くらしい だから屋台用に大きい木の板を切ったり運んだりする 手先は器用な方だしオレも役に立てると思った でもみんなオレを怖がってできるだけ一緒に行動したくないらしい まぁそうだよなぁ、今までケンカばっかでロクに教室に顔も出さなかったやつがいきなり手伝おうか?っていってきてもなぁ 仕方ないから床に散らばった木屑を掃除してた 暇だし…なんか汚れてるのは落ち着かない 結構本格的に掃除を始めた時に声をかけられた 「あ、あの……吉田君…?」 「あ?」 「っひ…っあ、っや、あの…先輩が、吉田君のこと呼んでって……」 「あ、おう…」 紺庄先輩か頬付先輩あたりだろう 出来れば後者にはあまり来てほしくない… でもオレを訪ねてきたのは3年のネクタイを付けた金髪のチャラそうな先輩だった、オレより少し小さい …………?…全然身に覚えがない… 「吉田君?吉田猛君?」 「あ、はい」 「今ちょっといいかな?時間ある?」 時間も何も煙たがられてすることがないぐらい暇だった 「大丈夫ッスけど…」 「よかった、ちょっと来てもらってもいいかな?」 「………はい…」 ……………ケンカか…… 学校内で声かけてくるやつはもういないと思ったんだけどな…… 廊下を歩く先輩のつむじを見ながらそんなことを考える 紺庄先輩に言われてからケンカしないようにしてるしあんまりそういうことしたくないんだけど… オレがケンカして少しでも唇が切れてたりすると紺庄先輩はめちゃめちゃ心配した 弁当もほっぽり出してわざわざ保健室まで消毒液と絆創膏を取りに行ったこともあった 手当した後もずっと「大丈夫?痛くない?横にならなくていい?」と過剰なまでに心配してくれた 膝枕しようとしてくれたこともあった、丁重に断っておいたけど…… そして最後に決まって必ず「あんまりケンカしてほしくないなぁ…猛、いっつもケガしてて心配だよ…」と困り顔な上目使いで言った だからここ最近ケンカはしないようにしてきた バイトに行く時も、家に帰るときもできるだけ違う道を使ったし、登下校にも裏門を使った、それでもどうしようもなさそうなときは先輩には内緒だけどちょっとだけケンカした 嫌だな…学校でケンカなんかしたら目立つし紺庄先輩の耳にも話が行くだろうな… そしたらまた先輩はあんな顔で心配だと言うんだろうか… ……………ちょっと見たい…………なんてことは、なくもない…… 短いため息を吐いて金髪の先輩を追った

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