159 / 1015
R's
「……せ…せんぱい…」
「たけるー?どうしたんだよ?」
「っや…なんでも…ないです…」
「っわ!!なにその子!!めっちゃ可愛いじゃん!!彼女!?」
「っあ、やめてください!!スマホ返してくださいよ!!」
「れーん!!けいー!!りくー!!見ろよ!!猛の彼女ー!!!」
「返してください!!」
今オレは音楽室で鈴木先輩たちのバンドR'sの練習をしている
って言ってもオレは歌詞と音覚えて上手に歌えるようにするだけだけど…
「え!?マジで!!コレ吉田の彼女なの!?めっちゃタイプなんだけど!!」
「わぁーかわい~『猛今日遅くなりそ?練習頑張ってね』だって!!」
「先輩たち練習してくださいよ…」
「いいからスマホ返してください!!」
何度かバンドの人たちとも顔を合わせていてやっとなじんだ
最初はオレの事を怖がってる人もいたけどみんな良い人たちばかりだった
ちなみにスマホを持っていったのがギターの鈴木龍之介先輩、紺庄先輩(女装)をタイプだと豪語するベースの篠田蓮先輩、メール内容を読み上げるドラムの二宮啓先輩、うるさそうにしているキーボードの早瀬陸人先輩だ
早瀬先輩が2年であとはみんな3年らしい
先輩たち(早瀬先輩を除いた)はまだ俺のスマホで紺庄先輩を見ている
紺庄先輩はなぜか学祭で女装をするらしかった
確かにめちゃめちゃにあってたしめちゃめちゃ可愛かったけど……
「ほら!!りくも見ろって猛の彼女!!」
「………?あ、これ紺庄じゃないですか…」
「え!?なに知り合い!?2年!?こんなかわいい子いた!?」
「あー紺庄男ですよ、確かにかわいい顔立ちしてますけど、今日このかっこで廊下歩いてんのみました」
「「「おとこぉ!?」」」
先輩たち(早瀬先輩を除いた)はスマホの中の紺庄先輩をじーっと見つめて驚いていた
……っていうか…先輩あの格好で外に出歩いたのかよ…
「なーんだ、彼女じゃないのか~」
「てっきり付き合ってんのかと思ったよww」
「…?付き合ってますよ?」
「「「「…え」」」」
「あ…」
いっつも頬付先輩たちとしかいないから感覚がおかしくなっててぽろっと言ってしまった
先輩たち(早瀬先輩を含む)が驚きの表情でこっちを見ていた
そうだ…そうだよな…男と付き合ってるのって一般的じゃあないんだもんな…
どうしよう…冗談ですよって言うなら今だ…
旅行の時「彼氏だよ!!」と言い放って「お友達じゃないよね?」って笑顔で言ってきた先輩の顔が浮かぶ
…ダメだ…先輩あんなに嬉しそうにしてたのに違うなんて言えない…
「え、マジで…?」
「………マジです…」
「付き合うって恋愛感情で?」
「……はい」
開き直って素直に答える
否定されたらそれはまぁその時だ
「お…」
「……お?」
鈴木先輩が変な顔で固まりながらこっちを見てた
「おぉおおぉおおぉおぉ!!すげー!!オレ同性のカップル初めて見たよ!!」
「おぉ…少し驚いたけどでもまぁあんなにかわいいと男でもいいかもってなるよなぁ…」
「その辺の女の子よりずっとかあいいもんね~」
「吉田と紺庄ってそうだったんだ…」
みんな驚いた顔はしてたが否定はされなかったむしろなぜかすごい勢いで応援された
鈴木先輩に限ってはなぜかすごい興奮してた
……良い人たちだな…良かった…
先輩に背中を叩かれ話を聞かせろとせがまれながらそう思った
ともだちにシェアしよう!