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照れ

「…っあ、たけるー!!!」 「先輩!?」 結構遅くまで練習があってもう8時になるところだった あのあとも練習って言うよりほとんど紺庄先輩の話を話させられただけだったけど… 靴を履きかえてたら下駄箱の影から紺庄先輩がひょこっと顔を出してきた ぱぁっと顔を輝かせてこっちを見ている 先輩には今日遅くなるんで先帰ってくださいって言ったのに… 「先輩あれが紺庄ですよ」 「あーあれが…」 「すげー女装してなくてもかわいい~」 「ってうか猛のこと待ってたんだね…」 後ろで先輩がひそひそ話してるのが聞こえる 話すのとは違ってやっぱり一緒にいるのを見られるのは気恥ずかしかった 先輩が走り寄ってくる 「……帰っててくださいって言ったじゃないッスか…」 「あ、っやでも猛と帰りたかったし!!」 「…っそッスか…」 先輩が嬉しそうにオレの手を掴んでくる 後ろから先輩たちの視線を感じて恥ずかしくてパッと手を離してしまった、態度もそっけなくなってしまった気がする… 先輩が一瞬少し悲しそうな顔をしてからなんで?って顔をした でもオレは先輩たちの視線と話し声が気になっててそれに気づけなかった さっさと靴を履きかえて先輩を押して校舎から出る 校門から出て鈴木先輩たちが見えなくなったところで先輩の横に並んだ ホッとしたらさっき先輩にしたことに罪悪感が湧いた 先輩はうつむいてて行き場のなくなった手を一人で絡めてた さっきの…感じ悪かったよな… きっと先輩オレと入れ違いにならないようにずっとあそこで待っててくれたんだ…手が少し冷たかった 雪こそ降ってないけれどもうカーディガンだけじゃ肌寒い季節になってきたし、暗くなるのも早いし暗くなればもっと寒くなる ……悪いことしちゃったな… 先輩の顔はうつむいてて見えない いつもいろんなことを喋ってくれる先輩がずっと無言でうつむいた 無言で歩き続けてたじたじしてるうちに駅についてしまった 「あ、じゃあ、ね…また明日ね…」 「あ、はい…」 先輩はそんなぎこちない挨拶をして自分の電車のホームに向かってしまった ボーっとホームの階段を駆け上がる先輩の後ろ姿を見ながら申し訳ない気持ちでいっぱいだった 明日…明日ちゃんと謝っとこう…

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