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嫌味なアイツ

「日本食、おいしいなぁ~…学は料理とかするの?」 「まぁ…一往一人暮らしだから人並みにはする」 「へぇ~じゃあ今度学も日本食教えてよ、俺スシがいいよスシ」 「スシ!?寿司は…むりかなぁ…チラシ寿司はできるけど…」 「チラシ寿司!?なにそれ!!」 元からアイツが気にくわんかった 教室に入った瞬間まなに(ほっぺやけど)キスするアイツを見た時点でめちゃめちゃ嫌やった 初めはまなの言った通り外国帰りでそういうことに疎いやつなのかとも思った でもそのうちあいつはまなに何かしたりするたびにオレに見せつけていることに気付いた 何をするにもオレの前、べたべたとスキンシップを取るのも、仲よさそうに話すのも全部やった しかもあいつはそんなことをするたびにちらっとオレを見て小ばかにするような態度を取り出した まなや他の奴らには見せないような顔をオレにだけ見せてオレだけを見下すような態度をとった それがめちゃめちゃ癪やった 転校した先の学校で自分より人気のありそうなオレが気にくわないんやろか… 「あ、学、米ついてるよ…」 「え、あ、どこ?」 「んーココ…」 あいつがちゅっとまなの口の端に口をつけてまたこっちに視線を送ってニヤッと笑った ……またや… 考えるのもめんどくさくなってごろんと芝生の上に横になった こいつは何がしたいんやろう… それはわからなかったけど何となくあいつは自分と同じ気配がして嫌やった 「………銀…?」 「………」 「銀?…銀…」 「……なに…」 まなが心配そうな声をかけてくるあいつが何をしたいのかわからないモヤモヤが溜まっていい気分ではなかった それに単純にまなにべたべたしとるのも気にくわんかった それをまなが容認しとるのも嫌やった 「なぁ…そんな志波だって悪気があったわけじゃないしさ…」 「へぇ…オレがなんで機嫌悪いかわかるんや?」 「………志波はさ…ずっと海外にいたからまだそう言うのがわかんないだけなんだって…」 まなも一往申し訳ない気持ちはあるみたいやった やったらなんであんなこと許すん? まなに意地悪したくなった 「だからまなはそういうこと平気でさせるん?じゃあオレが別の女子とそういうことしてもまなは平気なんや?」 「…それは違うだろ…それにあれは志波がいきなりやって来たから…」 「オレはそれもいやや」 まなは自分が申し訳ないと思ってる分シュンとした声だった 膝に頭を乗せても何も言わんし、しかもまなが頭を撫でてきた なんか子供扱いされてるような気はしたけど別にそんなんはかまわんかった 「そもそもなんであんなんと仲良くするん?」 「それは俺の勝手だろ…志波だって銀が思ってるほど悪いやつじゃないよ」 「まなオレが女子と仲良くしたらすぐ怒るやん」 「………怒ってない」 「嘘やん」 「怒ってない…」 やったらもっと子供っぽいコト言うたろ… そしたらまなはちょっと困ったようなムッとしたような顔をした 「オレアイツ嫌いやもん」 「だからそんなろくに話もしてないのに…」 「嫌いや」 「…………」 これは本心 「それじゃオレ銀が気に入った人としかつるめないじゃん…」 「それでええやん」 「いいわけないだろ」 こっちも半分本心 そしたらまなは困ったようにはぁ…っとため息を吐いた 「………わかったよ…ちゃんとああいうことされないように努力するし、志波がして来たら注意するよ…」 「…………」 「それでいいだろ…」 「……ん…」 まながあまりにも困り顔でそう言うから今日は許してやることにした でもだったらついでにちゅーぐらい貰てもええよな?

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