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怒ってない

振り向くと銀は俺に背を向けてごろんと横になっていた ぴくりとも動かない… 「………銀…?」 「………」 銀は明らかに不機嫌だった どす黒いオーラが漂ってる 銀の傍によって肩を揺すってみた 「銀?…銀…」 「……なに…」 いやいやって感じの声が返ってくる 顔を覗き込んでもじろっと睨まれただけだった さすがに何で機嫌が悪いかはわかる 「なぁ…そんな志波だって悪気があったわけじゃないしさ…」 「へぇ…オレがなんで機嫌悪いかわかるんや?」 「………志波はさ…ずっと海外にいたからまだそう言うのがわかんないだけなんだって…」 銀はまだ横になったままで威圧的な声だった また目を合わせてくれなくなった 「だからまなはそういうこと平気でさせるん?じゃあオレが別の女子とそういうことしてもまなは平気なんや?」 「…それは違うだろ…それにあれは志波がいきなりやって来たから…」 「オレはそれもいやや」 銀がオレの膝に頭を乗せてきた 今日は何も言わないでそのままにしといてやる 頭を撫でてやると手を掴まれてむにむにと俺の手を弄り始めた ………いつもならそろそろ機嫌治ってくれるんだけど… 「そもそもなんであんなんと仲良くするん?」 「それは俺の勝手だろ…志波だって銀が思ってるほど悪いやつじゃないよ」 「まなオレが女子と仲良くしたらすぐ怒るやん」 「………怒ってない」 「嘘やん」 「怒ってない…」 実際女子と仲良くするのと男子と仲良くするのは違う 銀だってそれぐらいわかってんだろ… 「オレアイツ嫌いやもん」 「だからそんなろくに話もしてないのに…」 「嫌いや」 「…………」 別に銀が志波が苦手なら苦手で別にいい でも俺が志波とつるむのは別に俺の勝手じゃない? 「それじゃオレ銀が気に入った人としかつるめないじゃん…」 「それでええやん」 「いいわけないだろ」 銀は完璧に拗ねてた 俺の手を捏ね続け俺とは目を合わせようとしない 「………わかったよ…ちゃんとああいうことされないように努力するし、志波がして来たら注意するよ…」 「…………」 「それでいいだろ…」 「……ん…」 そこでやっと銀は仰向けになって目を合わせてくれた もうあんまり怒ってはなさそうに見えた 銀の腕が首に回って引っ張られる 「……銀まだ怒ってるのかよ…」 「怒ってない…まながちゅーしてくれるんやったら今回は許したるわ」 「……今回、だけだからな…」 銀がいつも通りニヤッと笑ってるのを見てホッとした 顔が交差する状態のままキスした 「…………仲、いいんだなぁ……」 その様子を3階の空き教室から志波がゾッとするような笑顔で見下ろしているのを俺は気づかなかった

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