志波からメールが着てすぐにオレはタクシーに乗って あの日デパートに行った日に志波に会ったところまで向かった その途中で何人かクラスのやつに志波の家知らんか聞いたけど誰も知らんかった 『いや俺はちょっと晩御飯この辺で食べようかな、って家近いんだ』 志波がそう言ってたのを思い出した 何で志波の家だって思ったかは…勘…？ 本当は動画にうつっとった家具が新しかったからやった やからきっとこの辺のああいう雰囲気の家具を売ってる店でココ2か月ぐらいの間に家具一式買った人いませんか？って聞けばええんやけどさすがにまだどこの店もしまっとった やから考える… きっと志波の家は大きいんやと思う 動画の家具や部屋の雰囲気もやし前見た時に来とった服も金かけてそうやった あんま服なんかは詳しくないけどそうなんやろうな～と思った 半年近く前の記憶を呼び起こす こんなことやったらもうちょっと住む場所決める時にしっかりいろいろ考えるんやった… でも一つオレの思ってた家と一致するのがあった この辺にあるバカみたいにデカい洋館風の建物で周りからも浮いている家… まなが前長いこと人が住んでなくてその理由はそこで殺人事件があってそれ以降夜な夜な……なんて言う作り話の噂を聞いてガタガタしとったから覚えてる ………単純に維持に金かかるだけやろ… …………あんな悪趣味な家に住むとか…アイツらしいな… なんか思ったより簡単にどの家が志波の家かわかって拍子抜けた そしてそれぐらいの時間になるとさっきタクシーで送ったメールの返信が来とってやっぱりこの辺で志波見たとか最寄駅もこの辺ってことがわかった そうなったらあとは向かうだけやった スマホで地図を開いてこの辺の大きい建物を検索する そしたらあんな大きい民家一つしかなくてすぐやった …………まな…… ギリッと歯を鳴らして走る こうやって必死になっている自分をふと冷静になって眺めるとなんだか変な気持ちやった 人間味が出て来たって言うのも変な言い方やけどそうなんやと思う どうしてもまなが人の手で泣かされて、人の手の中にいるのが耐えられなかった… そんなこんなで洋館まで来たら案の定表札に「志波」って書かれとった やっぱりや… ぐるっと一周志波の家の周りを見て回ったけどどこも明かりがついてなくて誰もいないように見えた でも一か所だけカーテンの締まってる部屋があった とりあえずチャイムを鳴らす 志波に気付かれるかとかいろいろ考えたけど結局この家から逃げられないやろうし見た感じ車なんかもないそれにオレは志波の家の鍵を持ってない だったら見つかって不法侵入だなんだと騒がれる前にいちおう形だけでもチャイム鳴らした方がええやろうと思った 誰からも返事がない 志波が出るかな～と思ったけどそんな事もなかった もう一度ならす やっぱり返事はなかった …………… そーっとドアノブの手を掛ける するとかちゃんっと音がして簡単にドアが開いた 不用心やなぁ…今のオレには嬉しい不用心やけど そのまま志波の家に入り込んだ