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なんだかんだで好きな人
バレンタインから2日立ってやっと学校に来た
…まだ腰が痛い……
あんまり思い出したくない昨日の行為を思い出すとズキズキと余計腰が痛む気がした
「ご、ごめんね!!杉田君!!ま、ま、待った…よね…!!!」
「あ……」
俺の目の前には一昨日俺にチョコレートをくれた千鶴っていう女の子がいた
顔を赤くしてもじもじして俺から目を反らして立っている
わざわざ昼休みにこんな廊下の端っこに呼びだしたのは朝言おうとこの子のクラスまで行ったら冷やかされてこの子も真っ赤になってたし俺も真っ赤で正直その…恥ずかしかった…
と…とりあえず……
「え…と…あ、の…」
「あのっ…!!」
俺が話し始めようとしたら突然千鶴ちゃんが大声を出してびっくりした
今後は涙目になってぷるぷるして一生懸命俺の目を見てた
「あ、のっ!!……その……前…委員会、一緒…で…私、とろいし…鈍いし……その…あんまり、役に立たないし…みんな…私と仕事するとイライラして…嫌がって……な…なのにっ!!す、杉田君…わ、私とよく仕事、して、くれて…優しくて……私、嬉しく、て…で…その…だから……」
「…………」
………正直ちょっとかわいいなって思った
小動物とかこんな感じだなって…
小柄でかわいくてこうやって一生懸命気持ち伝えてくれて………
まず好きの重みが「アレ」と違うよな…
この子の方が可愛いし、きっと俺に合わせようとしてくれるんだろうし……
なんで自分があんなのが好きなのかいまだにわからない
確かに容姿は抜群にいいかもしれないけど
デカいしエロいし可愛くもないし自己中だし…エロいし……
千鶴ちゃんがそわそわして俺が何か言うのを待ってた
ホント俺も大概悪趣味だ…
「………ゴメン……」
「…………」
持ってた一昨日貰ったままのチョコレートを差し出していう
千鶴ちゃんはどんどん目がうるうるしてきたけど泣かないように必死みたいだった
「そ…そう、だよね…私、やっぱりとろいし…杉田君もこんなの…やだ、よね…」
「ちがう…」
「す、杉田君は優しいからそう言って…」
「違う」
千鶴ちゃんの顔はうつむいてて見えなかったけど前髪に隠れた顔から廊下にぽたぽた涙が落ちていってた
「チョコ…う、うれしかった…し…その、別に嫌いとか、迷惑とかそう言うのじゃなくて…」
「……………」
「お、れ…その…………好きな人、いて……」
「……………」
「……………」
昨日言うことを決めてきたはずなのに頭が真っ白だった
「そ、そっか……そ、か……」
「………ゴメン……」
「あ、謝らないで!!その…もしよかったらなんだけど…その人…どんな人……?可愛い…?」
「可愛くない」
「え…じゃ、じゃあ…やさしい…?」
「優しくない」
「え……えと……」
千鶴ちゃんが困り出した
困らせるつもりはなかったんだけど…
「可愛くないし、優しくもないし、なんか偉そうで、いっつも余裕そうで腹立つけど…その…好き…だか、ら………」
かぁぁっと顔が熱くなった
千鶴ちゃんはもう一回「そっか…」って呟いた
「あ、の…その…あ、ありがとう!!ちゃんと、返事くれて……」
「あ……うん……」
そう言って千鶴ちゃんはたたーっとろうかを走って行った
途中で階段の曲がり角の影からあのポニーテールの女の子が出てきてこっちをじーっと見てからまた頭を下げてあの子を追いかけて走って行った
俺らの話を聞いてたらしい
ふぅっと一息ついてその場の段差に座った
………疲れた……主に心が……
そう思ってボーっと千鶴ちゃんとポニテの子が走って行った方向を眺めてると突然さっきポニテの子が出てきたのとは逆側の曲がり角からピンク色の「アレ」が出てきた
もう心臓が止まるぐらいびっくりした
「ぎっ、ぎん!!」
「やっほー」
「やっほーじゃない!!」
とたんに顔が熱くなった
銀はやけに上機嫌で俺の隣に座った
……恥ずかしい!!
もう顔から火が出そうだった
「ふふっ、まーなっ?」
「やめろ、触るな…喋るな…なんも言うな……」
「可愛くないし、優しくもないし、なんか偉そうで、いっつも余裕そうで腹立つけど好きな人に対してその態度は…」
「あああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
もう耐えきれなくなって顔を手で覆ってそのまま膝に顔をうずめるように丸まった
そしたら頭にふわっと何かが触れて離れてった
そっちをちらっと見ると銀があの余裕そうなにやにや笑いを浮かべて唇を舐めてた
「俺も好きやで」
「ッ~~~~~~~~~!!!!!!!」
【バレンタイン編 おわり】
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