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目覚める鬼

背中や腹に絶えず鈍痛が走って頭がくらくらした 「やり返しても来ねえよ」 「ビビッて動けねえんじゃねえの?」 「そうかもな!!」 久々にケンカ…って言うか一方的なリンチだけど…そのせいで体がなまってるのかな…今までよりずっと痛く感じる 「猛!!猛!!」 「猛さん!!」 たまに人の合間から意識が戻ったらしい若葉とその若葉縄を解いてもらった先輩が見え隠れしていた 二人の不安そうな声が届く もうどれぐらいこうされてるのかわからなくなってきた さらに何度も蹴られ殴られて暴力を加えられ続けるのにじっと耐える 「ケッ、あんな馬鹿なチビに入れ込んでお前も気の毒だなぁ!!」 「………」 「あん?なんだその眼は…」 須王がオレの髪の毛を掴んで引っ張る 頭皮が攣れて痛みが走った 「…………」 「んだよ?その眼は何だって聞いてんだよ!!」 キレた須王の足が顔面に飛んでくるのがスローモーションみたいに見えた いくら体が丈夫だって言ってもさすがに須王の蹴りを顔面なんかに受けたら鼻の骨や頬の骨は折れるかもしれない… 避けれない… そう思ってとっさに目をつぶった 「や、めろ!!」 「…ってぇ…」 ガツンッ!!って音とうめき声が聞こえた でも痛くない オレじゃない…? 薄く目を開けると目の前で須王がしゃがみこんで頭を押さえてた 須王の取り巻たちはオレから目を逸らしてさっきまで須王が立ってた場所の少し後ろ側を見ている 「た、けるさん、を…はな…せ…」 「「「「「「あぁん!?」」」」」」 「「ヒッ!!」」 ゆっくり顔をあげるとそこには鉄パイプを持った若葉とその若葉の後ろにひっついて顔をのぞかせてぷるぷるしながら取り巻たちをにらむ紺庄先輩がいた 二人とも涙目でプルプル震えてる 多分須王をあの鉄パイプで殴ったんだろう… でも先輩も若葉もいっぱいいっぱいみたいで取り巻に睨まれただけで縮み上がってた 若葉に必死にしがみつく先輩と唇をかみしめてパイプを握る手をぎゅっと硬くして泣くのをこらえようとする若葉… こんな状況なのにちょっと笑えてしまった そうか…先輩もう縛られてないのか……だったら…別にもう我慢する必要もないよな…… 痛む頭を振ってゆらぁ…っと起き上がる 取り巻連中は若葉と紺庄先輩に意識が行ってて誰もこっちを見ていなかった 須王だけが床に伏せったままこっちを見上げて怯えたように震えてる こんだけ殴らせてやったんだ…ちょっとぐらいやり返しても良いだろ…?

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